交信不能の「ひとみ」は2つに分離か JAXA会見「本体は残存との立場」
●もう一度受信できる?
「ひとみ」からは、これまで電波を4回受信しているが、太陽電池パネルに太陽光があたった時に「オン」になったのだと推測される。現在は回転しているとみられる機体も、時間がたてば回転軸が安定する可能性があるため、今後、太陽にあたる時間が長くなることが期待される。しかし、回転が安定する時期は分からず、「数か月単位かかることも視野にいれて解析中」(久保田氏)だとした。 久保田氏は、もう一度電波を受けて「テレメトリデータ(衛星が現在どんな状態かを示すデータ)を受け取りたい」と述べた。
JAXA「重大な事態と認識」
「ひとみ」は、これまでのX線天文衛星「すざく」の100倍の感度を持ち、これまでは見ることができなかった遠くのブラックホールを観測して、銀河の形成過程の謎に迫ることが期待されている。 X線天文学の分野で、日本は世界的な成果上げ続けており、「ひとみ」は日本のリーダーシップのもとでつくり上げたという。世界の天文学者の期待は非常に高く、開発者の中には10年、20年と開発に携わった人もいる。そのため、開発者や天文学者は「ショックを受けている」(常田所長)という。 常田所長は「姿勢異常はあってはならないことだが、今回はそれを超えて衛星から離脱した物体が観測された。重大な事態と認識している」と危機感をにじませ、「何が何でも復旧させたい」と述べた。 ■会見全編動画