「足が痛い」は子どもの熱中症のサイン! 大人より+7度の体感気温…酷暑の夏、見逃してはいけない子ども熱中症SOS
「子どもが熱中症かも」と思ったらすべきこと
これらの子どもの熱中症のサインを見つけたら、親はどのような行動をとるべきなのだろうか? 「屋外にいた場合は、まず日陰など涼しい場所へ移動してください。めまいで転倒する危険があるので、意識がしっかりしていても横になることを推奨しています。 そして、着ている衣服の枚数をなるべく減らしてボタンなどは開けて緩める。その上で、大きな動脈が通っている首筋、脇の下、鼠径部を保冷材などで冷やして、水分を摂らせながら様子を見てください」 また、水分補給にもポイントがあるとのこと。 「熱中症の場合、汗で失った塩分の補給も必須です。塩分を補給できて、体への吸収率も高いナトリウム入りのスポーツドリンクや経口補水液を飲ませてください。塩分を含む飴やタブレットを食べさせることも有効です」 ちなみに、ナトリウムはミネラルの一種。ならば、「ミネラル入り」を謳う市販の麦茶も効果的なのだろうか? 「正直、熱中症対策としては麦茶の摂取だけでは足りないです。というのも、熱中症対策には100mlあたり40~80mg のナトリウム入り飲料が効果的。これは食塩相当量0.1~0.2gにあたります。一方で市販の麦茶には、食塩が100mlあたり0.01g程度しか含まれていません。全く足りていないのです」
熱中症にならないための、毎日の過ごし方
熱中症は怖いが、子どもたちの夏休みも近い。そもそも熱中症にさせないために、日ごろからどのような過ごし方をさせればいいのか。 「環境省が発表している『熱中症警戒アラート』が出ている時は外出を控えてください。熱中症警戒アラートは、気温、湿度、輻射熱から計算される『暑さ指数』というものが33℃以上になると発令されます。 環境省の公式LINEを友だち登録すると、スマホに熱中症警戒アラートの通知が来るので、親御さんはぜひ登録をオススメしています」 ただ、暑い夏でもなるべくなら屋外で楽しく過ごしてほしいのが親心。少しは暑さに体を慣れさせた方がいいのでは? とも思ってしまう。 「たしかに、暑さに体を慣らして汗をかきやすくする『暑熱順化』も、熱中症対策として有効です。午前中早めや夕方などの涼しい時間帯に、日陰で15~20分程度の運動をすれば十分です。もちろん、熱中症警戒アラートが出ているときは辞めてくださいね」 外出する際にはこんな注意点も。 「暑くてもコットン素材のインナーを着させてください。汗を吸収し、体温の上昇を防ぐためです。もちろん、こまめな水分補給は必須です」 もちろん、熱中症リスクが高いのは圧倒的に屋外だが、屋内でも気を抜けないという。 「室温は25~28度を保つようにして、風通しのいい空間で過ごしてください。また、就寝中の思わぬ熱中症を防ぐため、寝る前にはコップ1杯のスポーツドリンクを飲ませるといいでしょう」 熱中症は命にかかわるケースもある。大人は子どもが発するサインを見逃さず、暑さと共存しながら安全な夏を過ごそう。 取材・文/菱山恵巳子 写真/Shutterstock
菱山恵巳子