米財務長官の訪中で注目の中国株、矢面に立つのは太陽光パネルやEV
(ブルームバーグ): 中国の安価な輸出品の脅威に対処することを使命とするイエレン米財務長官の訪中で、中国製のソーラーパネルや電気自動車(EV)、バッテリーのメーカーへの風当たりが強まる見込みだ。
太陽電池の隆基緑能科技やEVの比亜迪(BYD)といった大手メーカーは既に、国内の価格競争や過剰生産能力で苦戦し、今年に入って株価がMSCI中国指数を下回る値動きだ。
5日に広州で協議を始めるイエレン長官は、中国の産業政策を批判し、政府の補助金が世界市場をゆがめていると主張。ホワイトハウスが関税の可能性をちらつかせる中、ここ9カ月で2回目の訪中を行うイエレン長官の動向は、中国のこうした業界の株式投資家に待ち受ける未来についてヒントを与えるかもしれない。
ニューヨークのアリエル・インベストメンツで、新興国市場バリュー戦略ポートフォリオマネジャーを務めるクリスティン・フィルポッツ氏は、関税などの地政学的リスクは「中国の株式リスクプレミアムが過去最高水準にある理由の大部分を占めている」と指摘した。
影響を受けやすいセクターと主要銘柄を以下にまとめた。
太陽電池
記録的な低価格と主要貿易相手国からの監視強化で、中国の太陽電池メーカーの評価が圧迫されている。世界最大手の隆基緑能の株価は今年に入り約13%、天合光能(トリナ・ソーラー)は16%それぞれ下落した。MSCI中国指数は年初来で2%安にとどまる。
世界の太陽電池生産の90%以上を占める中国の優位性は、バイデン米大統領の署名で成立したインフレ抑制法に基づくインセンティブがあっても、米国の工場新設計画を脅かし続けるだろうと、ブルームバーグNEF(BNEF)は先月のリポートで警告した。
さらに、中国政府が太陽電池業界の急速な生産能力増強を維持するための措置を講じるのではないかとの臆測がここ数週間で広がっている。イエレン長官は3日、新たな貿易障壁について相手国に説明する予定があるかとの質問に対し、米国内のクリーンエネルギー部門を保護する方法を「排除するつもりはない」と述べた。