久保建英はパリ五輪不参加が最良とスペイン人記者 レアル・マドリードは選手を出さないがラ・レアルは?
【スタメン落ちは久保に対する警告】 ラ・レアルは5月4日のラス・パルマス戦で緊急事態を迎えていた。控え組中心で臨んできたレアル・マドリードに敗れたことで、3試合連続未勝利となっていためだ。ヨーロッパリーグ(EL)出場権争いに向けて、この一戦に絶対勝つ必要があった。 ここのところチーム状態がよくなかったことで、イマノルはいくつかの変更を実施した。これまでファーストチョイスだった久保とバレネチェアをスタメンから外し、シェラルド・ベッカーを右サイド、生粋のストライカーであるアンドレ・シウバをセンターフォワードで起用して、オヤルサバルと前線で組ませたのだ。 この決断は私にとって驚きだった。なぜなら久保はレアル・マドリード戦で、昨年のようなすばらしいパフォーマンスの片鱗を見せたからだ。さらにレギュラーの久保、オヤルサバル、バレネチェアが、ケガなどの影響でこれまでシーズンを通してわずか9回しか先発で一緒にプレーできていなかったことを考えると、この3トップを形成するチャンスだった。 しかし、結果的にイマノルのプランはうまくいった。ベッカーを利き足(右)のサイドでプレーさせるというギャンブルに指揮官は勝ったのだ。ベッカーはスピードを生かしてクロスを入れ、1得点&オウンゴール誘発でマッチMVPに輝き、チームはラス・パルマス守備陣を破壊して、4試合ぶりの勝利を挙げた。 イマノルは80分に最後の交代枠で久保の投入を決めたが、試合展開的に実際ピッチに入ったのは89分だった。 イマノルの今回の決断は、調子を落としている久保に対する警告と言える。 「ベッカーを今回選んだ理由は、戦術的判断および久保に対してレギュラーが安泰ではないという警告か?」 試合後の会見場での私の質問を、イマノルは認めていた。 「ここでは誰もレギュラーの座は保証されていない。みんな調子がいいので、練習でよかった者が褒美を手に入れることができる。出場時間を得た選手はそのチャンスを生かせなければ、次の選手に出番が回る。今回は純粋に戦術的判断だ」
【あと4回チャンスがある】 今回のスタメン落ちは久保にとって、昨年のすばらしい感覚を取り戻すべく、日々さらに努力を重ねるためのきっかけになるかもしれない。 EL出場権獲得に向けて、ラ・レアルにはまだシーズン最後の"4つの決勝"が残されており、久保にもあと4回チャンスがある。次の挑戦は、バルセロナとのアウェーゲームという大きな困難がつきまとうものだ。少年時代バルセロナの一員だった久保にとって、この試合は特別な刺激となるだろう。(髙橋智行●翻訳 translation by Takahashi Tomoyuki)
ウナイ・バルベルデ・リコン●取材・文 text by Unai Valverde Ricón