愚かな男性たちの行動に笑いあり『フリンジマン~愛人の作り方教えます~』
板尾創路(いたお・いつじ)が醸し出す説得力と不謹慎な面白さ。7日スタートした「フリンジマン~愛人の作り方教えます~」(テレビ東京系)は、これまでにないスタイルで愛人作りの大作戦がコミカルに描かれる。「愛人が欲しい」と願う冴えない男たちに、板尾演じる愛人作りのエキスパート、”愛人教授(ラマン・プロフェッサー)”こと井伏真澄がそのノウハウを手取り足取り指南する。『週刊ヤングマガジン』(講談社)に連載された青木U平による人気コミックが原作だ。
ターゲットの女性攻略に七転八倒する男たちの滑稽な姿が笑える
土曜深夜の30分枠、話の展開が早くスリリングで飽きさせない。ターゲットの女性攻略に七転八倒する男たちの滑稽な姿、笑ってしまうのだけれど、あまりの真剣さに悲しいオスの性(さが)を感じ味わい深くもある。その男ども、つまり井伏からレクチャーを受ける”愛人同盟”メンバーに大東駿介、淵上泰史、森田甘路とタイプの異なる3種……いや3人を揃えた。彼らの愛人候補となる女性役に筧美和子、佐津川愛美、岸明日香、小倉優香、板野友美がエピソードごとに出演する。時間帯から考えても予算的に厳しそうな中、よくぞこれだけ”男好きする女”っぽい、コケティッシュ全開な女優を集めたと感心してしまう。 あっという間の30分、もうちょっと観たいなあと思っていたら、Amazonプライムビデオでなんと第2話が独占先行配信中だった。地上波では次週分。もしAmazonプライム会員の資格を持っている人であれば、1週分、先取りして観ることができる。
「私の奴隷になりなさい」で共演の板尾と壇蜜が再び
その第2話には、ネタバレになるので細かくは書けないが、板尾演じる井伏の愛人役で壇蜜が出演。板尾と壇蜜といえば、ブレークのきっかけとなった映画「私の奴隷になりなさい」を思い出す。板尾は壇蜜演じるヒロインをSM調教する先生役を演じていたのであった。あの映画なくして、今日の壇蜜はない。壇蜜にとって板尾は、いわば恩人。そんなリアルな関係の濃さがドラマの中で愛人を演じる2人と結びつき、思わずクスッとしてしまった人もいるのでは。そんなこと、気がついても気がつかなくてもどちらでもいいわけだが、もしねらってのキャスティングだとしたら、なかなかオシャレだ。 不倫は現実世界ではけっして笑うことのできない深刻な問題だが、「フリンジマン」は土曜深夜という枠を活かし、シリアスな題材ながら通常考えにくい、まずあり得ない設定に落とし込むことで、ギリギリ、コメディとして楽しめる領域内に成立させている感がある。最終回まで観ないとドラマの真のテーマはわからないようだが、まず序盤を観た印象としては、不倫そのものより、愚かなことに心血を注ぐ男たちの滑稽さのほうが刺さってくる。 次も観たい度 ★★★☆☆ (文・写真:志和浩司)