学校のプールが使えない 理由は老朽化 建て替え費用は1校あたり最大3億円 代わりに公共施設のプールで授業 授業数が減るデメリットも 北海道北見市
北海道放送(株)
お子さんのプール授業が始まったというご家庭もあるかと思いますが、北海道北見市の大半の小学校では、授業を公共施設のプールで行うことになりました。なぜなのでしょうか。 続々とバスから降りる子どもたち。みんな、水泳帽を被っています。 20日、北見市の高栄小学校の2年生42人が訪れたのは市民温水プール。「授業」のためにやってきました。 今シーズン初めての授業ということもあり、この日は水に慣れることが目的です。 しかしなぜ、学校のプールを使わないのでしょうか。 児童 「学校のプールはちょっと古くなったから使えなくなった」 「シャワーが出なくなったの」 理由はプールの老朽化。 実は、北見市では今年度、高栄小学校など学校にプールがある18校のうち、16校で安全性が確保できず、学校のプールの使用を中止しました。 高栄小学校 菅原宏太教頭 「壁も4~5年前くらいにとれちゃったもの。用務員が板貼って直してくれて、使えないわけじゃないからなんとか使ってた」 プールの建て替えにかかる費用は、1校あたり最大3億円。 財政的な負担は重く、北見市教育委員会は、建て替えは難しいと判断しました。 高栄小学校 菅原宏太教頭 「ちょっとさびしい部分はあるが、新しいプールを使えるということもあって楽しみにしていたり、きょうも楽しそうな表情で(市民プールを)使ってくれたのでとてもよかった」 一方、こちらは福岡県のプール授業の様子です。 こちらも公共施設のプールでの授業ですが、指導するのはプロのインストラクターです。 福岡では教員の負担軽減をめざし、複数の自治体が指導を民間に委託しています。 児童 「ここの授業の方がわかりやすくて、細かいところまで教えてくれるので、すぐに上達します」 北見市などでみられる公共施設のプールの利用には課題も。 高栄小学校 菅原宏太教頭 「うちの学校だけじゃなくて、北見市内たくさんの学校が市民プール使わせてもらっているので、ちょっと授業の実数は少なくなった」 授業のコマ数が6に減少しました。 学習指導要領に定められた目標は達成できるということですが、子どもたちの楽しみの一つでもあるプール授業をどう維持するか、議論が必要です。 これは北見市だけの話ではありません。 札幌市以外の北海道内の小学校で、ほかの学校や公共のプールを使って授業をする学校がおよそ「8割」にのぼるんです。 また、札幌市の場合も、市内の小学校のおよそ6割が造られてから30年以上と老朽化が進んでいます。 札幌市は、受け入れ先があれば学校のプールを取り壊して公共施設や民間のプールで授業をする可能性もあるということです。 施設の老朽化や教師の労働環境の問題が重なるなか、授業の質と安全の確保をどう両立していくのか、いろんな知恵をしぼる必要があると思います。
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