私たち、転校しました~日本一15回のバレー部~ 転校後の1年 進化を続ける「真実(こころ)のバレー」
地域の人たちの思いと支援を受けて
練習中の部員たちを訪ねてきたのは学校の近くに住む地域住民だ。日々練習に励む部員たちのために、コメやメロンなどの差し入れをしてくれている。 差し入れをした農家の川本浩さんは「学校が廃校という話もあり、かなり心配していた。井上先生が来てくれると聞いて飛び上がって喜んだ。とにかく地域に子供がいないので子供たちが一人でも2人でも定着してくれてたとえばここの企業に勤めてもらうとか、地域を何とかして盛り上げてもらいたい」と話す。 西海市は人口減少が止まらず若者も減っている。「転校」のため市外から引っ越してきた高校生は若さと明るい話題を届けてくれる存在になっている。 いつの間にか保護者だけでなく、地域の人たちが試合の応援に来る姿も見られるようになり、井上監督の指導にも熱が入る。 西彼杵高校バレー部 井上博明監督:どれだけいろんな人たちの気持ちをいただいてやっているか、それなのにどんな気持ちを出してやっているのか、本当に自分たちで話し合って絶対にこんな恥ずかしい試合をしないようにプライドがあるゲームができるように。
見えた春高のオレンジコート、しかし
“東京体育館で西彼杵の校歌を歌いたい”地域や保護者の支えを受けながら西彼杵高校としての日本一を目指す彼女たちが待ちに待った春の高校バレーがやってきた。 西彼杵は順調に勝ち進み、長崎県大会でベスト4に進出した。しかし試練は準決勝の序盤に訪れた。大会初日に足を痛めていたエースの田中聖華選手が、ジャンプ後に転倒。 田中選手はメンバーに支えられながらコートを去らざるを得なかった。チームは勝ったものの翌日の決勝を大黒柱不在で臨むことになった。 ドロストきいら選手:試合中にショウ(田中選手)を見てやるけんね!って合図を送った。3年生だし、春高で絶対に自分が決めてショウと一緒に日本一を取りたいと思う。 全国大会まであと1歩。相手は九文時代からの好敵手「純心女子(じゅんしんじょし)(長崎市)」。先に3セットを取った方が勝ちの5セットマッチ。西彼杵が続けざまに2セットを先取し、勢いにのる。 春高オレンジコートが見えてきた第3セット。西彼杵に負けまいと努力をしてきた純心女子が息を吹き返す。西彼杵は苦しい場面で一本を決めてくれるエースの不在がボディブローのように響いてくる。純心女子が第3・4セットを取り返し、最終の第5セットへ。マッチポイントを握ったのは純心。そのまま純心が逆転勝ちを収め、試合終了。 「転校」という大きな決断をして春高を目指してきた3年生の最後の戦いが終わった。 市川すみれ主将:自分たちにしかできない経験をさせてもらって本当に感謝の気持ちしかない。これからも西彼杵が強くなるように頑張っていきます。