小林製薬の会長・社長が紅麹問題を受け引責辞任 後任は創業家外の専務
小林製薬は23日、紅麹サプリを巡る健康被害問題を受け、小林一雅会長(84)が23日付、小林章浩社長(53)が8月8日付で辞任し、後任の社長には山根聡専務(64)が昇格する人事を発表した。105年の歴史で、創業家外からトップが選ばれるのは今回が初。紅麹問題における一連の問題について、経営責任を明確にするため一雅会長は特別顧問、章浩社長は代表権のない取締役補償担当に退く。 【画像】小林製薬の会長・社長が紅麹問題を受け引責辞任 後任は創業家外の専務
山根専務は、サステナビリティ経営本部本部長を兼任しながらGOM(執行役員を主な構成員とするグループ執行審議会)にも参加している。同社によると「章浩社長とともに本件事案への危機対応を率先して行うべき地位にあり、その経営責任は重い」ことから専務として受領済みの月額報酬の40%相当額の6カ月分を自主的に返上するという。
章浩社長に関しては、「本件事案への危機対応においてリーダーシップを発揮することができず、結果として行政報告や公表の遅れを招いたことの経営責任は重大であり、代表取締役社長の地位を辞任することとなった」と説明。代表取締役社長として受領済みの月額報酬の50%相当額の6カ月分を自主的に返上する。
一雅会長に関しては、すでに経営の現場からは距離を置いており、本件事案への対応に直接的に関与していたわけではないという。「しかし、代表取締役会長としての職責は重く、また、本件事案を公表した後における被害発生状況の行政報告の遅れに関する問題もあり、取締役会は同会長の経営責任は重いと判断した」とコメント。今後は同社の再建に向けて、会長の知見と経験などを生かすことが有用と判断し、特別顧問の職を委嘱したとしている。
同社は2016年に肌着メーカーのグンゼから紅麹関連の事業を譲り受け、紅麹原料の製造を大阪工場で始めた。それまで紅麹を扱った経験がなく、グンゼから設備の提供を受け、技術者にも入社してもらった。以降、紅麹原料を他社へ販売してきたが、21年4月に自社商品のサプリ“紅麹コレステヘルプ”を発売。今年の3月まで約103万個を販売した。しかし、“紅麹コレステヘルプ”を摂取した人が腎疾患などが発生したとの報告を受け、3月22日付けで紅麹関連製品の自主回収を発表した。
これら紅麹問題を受け、同社の24年1~3月期連結業績では、38億6200万円の特別損失を計上。内訳は、製品回収関連の損失が6億4800万円、関連する製造設備の減損損失が2億1300万円。引き続き、対象商品3品の回収を実施している。