メジャー両リーグの「本塁打王が激突」する稀有なワールドシリーズ…「最強の選手」同士の対決は意外と少ない
<最強チームもポストシーズンで敗れてしまうことが多いMLBで、今年は両リーグのホームラン王同士の対決が実現する>
アメリカンリーグとナショナルリーグそれぞれを代表する最高のチーム同士の優勝争いが実現する。そして両チームには、両リーグを通じて最高の選手が集まっている。 【画像】シーズン50本の本塁打を打った選手同士による初めてのワールドシリーズ対決 ようこそ、2024年のワールドシリーズへ。 ニューヨーク・ヤンキースとロサンゼルス・ドジャースを最も嫌うファンでさえ、彼らが野球界の頂点にいる選手たちであることは認めざるを得ないだろう。 今でさえ地上で最も注目されているヤンキースのアーロン・ジャッジとドジャーズの大谷翔平についての情報を、私たちはこれからますます目にすることになるはずだ。 ワールドシリーズでは現役選手の中でも最高の選手同士が対決するのが建前だが、現実の組み合わせは、ポストシーズン中の偶発的な番狂せのせいで予定とは違うチームが出てくることが多い。 だが今年はドジャースが98勝64敗、ヤンキースが94勝68敗と、それぞれレギュラーシーズンで史上最高の勝率をあげている、文句なしのトップチームだ。 こんな組み合わせになることは滅多にない。 たとえば、ジャッジがレギュラーシーズン中に打ったホームランの数は、アメリカンリーグ最多の58本。大谷はナショナルリーグ最多の54本だ。つまり今度のワールドシリーズは、アメリカンリーグとナショナルリーグのホームラン王同士の対決となる。 両リーグのホームラン王同士が対決するのは、1956年のミッキー・マントル(ヤンキース)とデューク・スナイダー(ドジャース)以来だ。 ジャッジと大谷の対決は、レギュラーシーズンで50本の本塁打を打った選手同士による初めての対決でもある。 大谷はロサンゼルス・エンゼルスに所属していた2023年、OPS(出塁率と長打率を合わせた評価指標)1.066、うち長打率.654、出塁率.412とドジャーズにきてからよりも優れた成績を残したが、6年連続でプレーオフには出場できなかった。 エンゼルスは大谷やマイク・トラウトといった(怪我をしていなかった時期には)アメリカンリーグで最高の選手のうち2人を擁していたにもかかわらず、この間一度もポストシーズンに進出することがなかった。 ジャッジ、大谷、そしてヤンキースの外野手フアン・ソトの3選手は、レギュラーシーズンのwRC+(打者の貢献度を表す指標)でMLBのトップ3を占めている。wRC+の上位3選手がワールドシリーズに顔を揃えるのも今年が初めてだ。 NBAではスター選手の少ないチームがファイナルに進出することはあまりないのと対照的に、MLBでは才能ある選手が集まるチームがワールドシリーズに進出することは滅多にない。 各リーグで最も年俸が高い2つのチームが優勝を争うことについて、冷めた見方をする人々もいるだろう。だがドジャースとヤンキースの決戦は、ファンの多くも出場選手たちも生まれる前の1981年にあったきりだ。今年のワールドシリーズは、野球界最高の選手たちが最後の勝者になる稀有な機会なのだ。
ジョン・ポール・ホーンストラ