西野七瀬が『大奥』で引き受けるいびられっぷり 強い意志を感じる“これまでと違う表現”
愛憎渦巻く『大奥』(フジテレビ系)の世界では、倫子(小芝風花)への嫌がらせが日に日に過激なものになっていく。そんな中、難しい立場を強いられているのが倫子に仕えるお品(西野七瀬)なのだ。 【写真】『大奥』小芝風花インタビュー撮り下ろしカット 倫子の付き人として共に大奥にやってきたお品は、唯一、京の宮家の頃から倫子のことを見てきた人物だ。さらに倫子から全幅の信頼を置かれており、お知保(森川葵)が倫子付きとなってからも倫子の身の回りの世話を買って出ていた。そんなこともあり、倫子に向いた嫉妬の刃はお品にも襲いかかる。時に納戸に閉じ込められ、焼き物を割った濡れ衣を着せられ、きんつばに混ぜられた碁石を倫子の代わりに食べそうになる。そのいびられっぷりは倫子以上かもしれない。お品は、『大奥』のセンセーショナルなシーンを一挙に引き受ける、なくてはならないキャラクターだ。 お品を演じる西野七瀬はアイドルグループ乃木坂46の1期生として芸能界デビュー。アイドルの傍らファッション誌の専属モデルや女優として幅広く活躍してきた。また、2019年に乃木坂46を卒業してからはますます女優業に力を入れ、映画・ドラマへの出演が飛躍的に増えた。 中でも特筆すべきは、『あなたの番です』(日本テレビ系)の黒島沙和役だろう。当時、異例の2クール連続で放送された『あなたの番です』は、「交換殺人ゲーム」という過激なストーリーが視聴者の興味を引き、“考察ブーム”を呼んだ話題作だ。当時のTwitter(現X)やYouTubeでは盛んに考察が行われ、いったい誰が犯人なのかとドラマの細部まで検証する人も多数現れた。その中で、西野が演じた黒島は常時話題となっており、西野自身も強い存在感でドラマをリードしていた。 その勢いのまま、翌年の『アンサング・シンデレラ 病院薬剤師の処方箋』(フジテレビ系)では新人薬剤師の相原くるみ役を好演。役名のInstagramアカウントを開設するなどドラマの放送時間外にも視聴者を楽しませてくれた。さらに『恋なんて、本気でやってどうするの?』(カンテレ・フジテレビ系)ではセックスレスの冷めきった夫婦関係に悩む専業主婦と言う攻めた役もこなし、女優としてのステップを着実に歩んでいく。 こうした現代劇においては、キャラクターが例え裏の顔を持っていたとしても、西野の持つ可愛らしさや清純さは芝居に活きており、弱々しい可憐さも魅力の一つであった。だが今回、時代劇の『大奥』では、倫子に向ける大きな優しさや、おおらかに構えた頼もしさもあり、倫子を支えようという強い意志さえ感じられることから、これまでとは違った表現で役に挑んでいるように思える。加えて、第3話では大奥料理役人の葉山貞之助(小関裕太)との関係もますます近いものとなり、恋の予感も。このあとも様々な場面でのお品の活躍が予想されることから、非常に楽しみである。倫子を献身的に支え、“おなごが色とりどりに生きられる”世界の実現のためにお品も一役買ってくれるのではないか。
Nana Numoto