【動物愛護】パートナー意識深めて(9月17日)
動物愛護週間が20日に始まる。本県は猫の殺処分数が高い水準で推移している。動物愛護意識が広まり、全国的には減少傾向にある中、都道府県別で近年、上位に高止まりしたままだ。飼い主には共に生きるパートナーとしてのモラルが改めて求められる。 県食品生活衛生課によると、2022(令和4)年度に県内で保護された猫は1635匹。このうちの処分数は約7割の1158匹に上り、都道府県別で最多だった。2021年度は1035匹、2020年度は1893匹で、いずれも2番目に多い。 飼い主が飼育できなくなったり、捨てられて所有者が不明だったりした猫が施設に収容される。譲渡が難しい場合などに施設で最期を迎える。 県は引き取りの申し出があっても、安易には譲渡しない方針を示す。受け入れ環境や経済力など飼育能力を見極めているという。昨年、劣悪な環境でペットを飼育し、虐待したとして、動物愛護法違反の疑いで県内の飼い主が摘発された。「多頭飼育崩壊」も問題となっている。譲渡に対する県の姿勢も慎重にならざるを得ないだろう。
猫は繁殖力が非常に強く、1匹のメスは1年間で最大20匹以上、2年間で80匹以上を産むのが可能とされる。住宅街などでは家の中でのみ飼われ、繁殖を防ぐ手だてが施されている例が多い。捨てられるなどして野良化した猫への対策が課題となっている。 今春改定された県の動物愛護管理推進計画は、地域住民が主体で野良猫を管理する体制づくりを支援するとしている。餌やりや排せつ物の管理などのルールを定めた地域にいる野良猫を捕獲してもらい、県の施設で不妊・去勢手術をして地域に返還する。こうした仕組みを通し、「地域猫」として大切にされる機運が高まるよう期待したい。 一方、県内の犬は2020年度、71匹の命が失われた。全国で10番目の多さであり、猫同様に対策が急がれる。 県獣医師会は今年度、長寿の犬猫を表彰する制度を創設した。飼い主が終生にわたって適正に飼育する重要性を浸透させる狙いがある。動物は人の心を癒やしたり、疲れた身を励ましてくれたりする。無責任な飼育放棄が少しでもなくなるきっかけになるよう願う。(浦山文夫)