「集中が続かなくてつらい」状態から抜け出す5つの方法
マッキンゼーと一流企業で習得したナレッジ
ここで、私が日ごろ行っている習慣を、5つ紹介したいと思います。 ・頭がいっぱいになったら書く 仕事に追われていたり、済ませたはずの仕事の不安が襲ってきたりして、目先のことに集中できないことがあります。そんなときにおすすめしたいのが「ジャーナリング」という手法です。 感情や雑念というのは、頭の中にしまってしまうからこそ滞留してしまうもの。そこで、頭に浮かんだことをすべて、紙に書き出してしまうのです。それだけで、驚くほど頭が整理され、集中力が回復します。 TODOだけでなく、プライベートの悩みも含め、すべて書き出しておきます。書き出してみると意外と「悩むほどのことでもないな」ということに気づくこともあるでしょう。 書き出すだけでも十分効果がありますが、私の場合、書いた紙を破り捨ててしまいます。悩みがふと浮かんできたら書きなぐり、すぐに破る。それを何度も繰り返すのです。そうすることで、体内から負のエネルギーが外に出て行くのを感じます。いわば、トイレに行くのと同じことですね。 ちなみに同じような効果は、人に話すことでも得られます。友達でもメンターでも、信頼できる人に話すとよいでしょう。 ・モノを徹底的に排除する 心のノイズを取り払うためには、「視界のノイズ」も取り払う必要があります。 私は机の上に置いてあるのは、パソコンと時計だけです。あとは、視界には基本、何も入ってきません。モノがあると、意識はせずともそれがノイズとなり、集中を妨げてしまうからです。 いわゆる「ミニマリスト」になる必要はありませんが、少なくとも何かをする際に視界に入るものは極力少なくするようにしましょう。それが、心のノイズを取り払うことにもつながります。 「机が汚くても仕事ができる人は多い」という反論がありますが、私は「そういう人は、机を整理すればもっと仕事ができるようになる」と思っています。 とはいえ、実は私も昔はかなりの片づけ下手でした。10年ほど前に一念発起して片づけを開始し、今ではかなり片付いた状態をキープすることができています。 部屋に空間(余白)ができると、「今、自分に必要なものは何か」が見えてきます。そして、必要なものだけを揃えようとするので、自然とモノも少なくなり、部屋の余白がキープされるのです。 ・一日一度、一人の静かな時間を持つ 職場では多くの人に囲まれ、家でも家族の世話に追われ......という人は、なかなか一人になる時間がないかもしれません。しかし、集中力を高めるためには「一人になる」時間を一日一度、必ず作ってほしいと思います。 一番おすすめの方法は、都会から離れて、森や海といった自然豊かな場所に行くことです。でも、そんな時間がないという人は、近くの公園に行って、10分でいいので自然の中に身を置いてみてください。当然ですが、スマホを眺めたりはNG。できれば電源も切ってしまいましょう。 なぜ、一人の時間を作ると集中力が高まるのか。私はその理由を「ノイズをシャットアウト」できるからだと考えています。 たとえるなら、いまの私たちは嵐のときの海面のような状態で、上へ下へと揺られて、どこに向かっているのかすらよくわからない混乱の中にいるようなものです。 そんなときでも、海面下は比較的穏やかで、深く潜れば潜るほど、地上の嵐がウソのように思えてきます。その「深く潜る」時間こそが、一人の時間だと思うのです。 公園に行く時間さえない、という人は、会議室にこもったり、屋上やベランダなどに出てみるということでもいいでしょう。そうして一人になってからまた戻ってくると、世界が少しだけ違って見えることに気づくはずです。 ・不要なものを見極める――判断する量を減らす 「判断の量」は集中力に大きな影響を与えます。人間が一日にできる判断の量は限られている。だから、なるべく判断の量を減らすことが、集中力を保つコツになります。 そこでおすすめしたいのが、「仕事以外の判断をなるべく減らす」ということ。 たとえば私は、朝ごはんに何を食べようかと判断しなくて済むよう、毎朝「ご飯とお味噌汁と納豆」と、同じものを食べています。 着る服もなるべく決めており、「プレゼンの日は、ワンピースにジャケット。普段の仕事着はこれで、あとは毎日色を変えていくだけ」と決めています。 ちなみにこれを徹底していたのが、かのスティーブ・ジョブズ氏で、黒のタートルネックとリーバイスのジーンズを毎日着ていました。着るものに悩むのは無駄だと考えていたからだというのは有名な話です。 小さなことにも思われるかもしれませんが、小さな判断が積み重なると、夕方頃には疲れ切ってしまいます。当然、集中もできません。集中力が続かない、という人は、「自分は余計なことまで判断しようとしていないか」と、一度振り返ってみてください。 ・見るべきメールはタイトルで判断 我々の判断量のキャパシティを著しく消費してしまっているものがあります。それは、「メールやチャットの処理」です。私もそうですが、一日に100件を超えるメールを処理しなくてはならない、という人も多いことでしょう。 ただ、実際にはそのうち、本当に重要な判断が迫られるメールはそれほど多くないはずです。しかし、来たメールを片っ端から読んで処理しようとすると、「このメールは返信しなくていいな」「この処理は後でもいいな」という判断をしなくてはならず、これも「1判断」とカウントされてしまいます。 特に問題なのは、朝一番でメールを処理しようとすることです。朝一番という一番頭が冴えている時間帯、しかも、これから重要な仕事を始めようというタイミングで、「メール処理」に判断力を使ってしまうのは、極めてもったいないのです。 そこで、朝イチで来たメールを片っ端から開くのは、やめてしまいましょう。まず、タイトルだけを見て「どのメールだけ読むべきかを判断する」。これなら、「1判断」で済みます。そして、その結果として「このメールは読んだほうがいいな」と思うものだけ処理するのです。 もちろん、タイトルだけでは判断できないこともあるはずで、「放置していたら実は緊急の要件だった」ということもあるでしょう。それによって相手に迷惑がかかることもあると思います。でも、即レスにこだわって自分のアウトプットが低いものになってしまったら、結局は相手にも迷惑をかけることになってしまいます。 そして、朝には朝にしかできないことに注力する。私も朝一番冴えている時間帯にはメール処理をせずに、コンテンツを作成したり、重大な決断をすることにしています。 「朝、とりあえずすべてのメールを開く」という習慣を持っている人は、それをやめるだけで朝イチの集中力が違ってくると思いますよ。
大嶋祥誉(センジュヒューマンデザインワークス代表取締役)