「私は見殺しにしてしまった」 生き残った人が伝える後悔 【東日本大震災13年の“あれから”】
■あの時のあの目の色 「片時も忘れたことはない」
一緒に逃げた妻と女性は助かったが、背負っていたおばあさんは亡くなった。大谷さんはその時、おばあさんの目を見た。「あの時のあの目の色、片時も忘れたことはないですよ、今もです」 自分の命を守るために、犠牲にしてしまった命がある…。しばらくは、この事実から、夜も眠れずに、涙を流しながら日々を過ごしていた。大谷さんは、このおばあさんの話を誰にも明かすことができなかったという。 しかし、震災後、しばらくして、同じ悲しみを味わってほしくないとの思いから、語り部の活動を始めた。おばあさんの供養の気持ちを込めて、多くの人に自身の体験を語り継いでいる。 「自分にだけは災害は及ばないって思って生活している」 「あなたが日常生活をしているその場所、もしあなたの身に危険が迫ったら、その場所だったらどう行動したらいいのか、頭のなかでシュミレーションしてほしい」 「ひとごとだと思わず、自分ごとに」
(※2023年5月11日に福島中央テレビの「ゴジてれChu!第Ⅲ部」で放送されたものを再編集しました)
【取材した福島中央テレビ・小野紗由利アナウンサー 2024年3月に思うこと】
福島県は東日本大震災による「原発事故」が全国的にも知られているなか、地震や津波などによる甚大な被害もあり、県内だけで4170人(震災関連死含む)が命を落としています。命は助かったものの残された彼らは今も様々な「後悔」を抱えていました。 その後悔を無駄にしたくない。そう思い、被災者の声をまとめて伝えています。あの日から13年が経つ今だからこそ打ち明けてくれた彼らの記憶をもとに、災害時の避難の在り方について考えるきっかけにして欲しいと思います。