フィデリティ、邦銀株への追い風続く-金利高で収益性と株主還元向上
(ブルームバーグ): 投資信託運用会社の米フィデリティ・インベストメンツは、日本の銀行株はマクロ経済環境や融資需要、自社株買い、配当などポジティブな要素の恩恵を引き続き受けるとみている。
ポートフォリオ・マネジャーのカーク・ノイレイター氏は19日のブルームバーグとのインタビューで、「金利上昇で収益性が向上することによる大規模な自社株買いや増配の可能性は銀行にとってポジティブだ」と述べた。
ノイレイター氏は、設備投資や海外投資のための融資需要が増加しているため、邦銀の収益力はかなり強くなっており、企業の合併・買収(M&A)案件の増加も銀行株にとって追い風になると分析。新型コロナ禍で行われた日本政府による実質無利子・無担保融資の終了などで倒産件数は増勢にあるものの、貸倒引当金引繰入額はなお低水準で、銀行はより多くの融資が可能だとみている。
また、邦銀の中には米国へのエクスポージャーがあり、国内企業の対米投資を融資する上で良い立ち位置にあるほか、「アジアでも良好なポジションにある」との認識を示した。
ブルームバーグのデータによると、ノイレイター氏は6億6500万ドル(約1063億円)の資金を運用する日本株ファンドの管理者で、ファンドの保有銘柄上位には三井住友フィナンシャルグループが入っている。
一方、ノイレイター氏がスティーブン・リュー氏と共同で運用するフィデリティ・パシフィック・ベイスン・ファンドでは、日本に次ぐウエートの新興市場で中国と香港に「大きなウエート」を置いている。
ノイレイター氏によると、「インドのバリュエーションはやや高く、中国と香港は対照的に比較的安く取引されている」と判断しており、直近3カ月でインドに対するエクスポージャーを縮小したという。ブルームバーグのデータによると、同ファンドの運用資産は6億7000万ドル(約1070億円)。
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Yasutaka Tamura