中谷・小野寺元防衛相が会見(全文1)日本の防衛の現状について
ミサイル防衛について自民党でまとめた提言について
小野寺:小野寺と申します。この会場に来て気付きましたのは、ここが先日の森友学園の籠池さんの記者会見場だったということをあらためて思い出しました。今日は、ミサイル防衛について自民党でまとめた提言について説明をさせていただきたいと思います。 北朝鮮の弾道ミサイルの実験は引き続き頻度を増しております。また核の実験も繰り返され、その小型化や能力は向上していると思っています。弾道ミサイルの、ここ数年の能力向上は著しいものがあります。1つは移動式の車に積んで、さまざまなところから発射ができるようになったということです。もう1つは固体式のロケット燃料になりますと発射する時期も予想しにくいということです。 この防御のために日本の自衛隊はイージス艦やPAC3で対応をしております。しかし従前と違って24時間365日警戒をしていなければいけない状況になりました。警戒に当たる隊員の労力も大変大きなものになりました。24時間365日しっかり防衛をするためには、新たなアセットの導入が必要ということになりました。今回の提言では例えばイージス・アショアやTHAADのような新しいミサイル防衛のアセットをしっかり研究し、導入すべきということになっております。これは北朝鮮のミサイルの能力向上に合わせた防衛力整備というふうに理解をしていただければと思います。 2点目はわが国としての反撃能力の問題です。日本は専守防衛という考え方を取っており、相手の領土に届くような防衛力を持たないというのが前提です。この考えの基本は日本が攻められるという状況がどういう場合かということにあります。以前は爆撃機が日本の上空に来て、そこから爆弾を落とす、あるいは戦艦が日本の近くに来て、大砲で日本の町を破壊する、このような攻撃が想定をされました。ですから日本の自衛隊は飛んでくる爆撃機を撃墜をする、あるいは大砲を撃ってくる戦艦を陸上から攻撃をする、このような装備を充実させてきました。ですが、防衛技術の進歩とともに弾道ミサイルの技術の向上、北朝鮮ですら、この能力を持つようになりました。 直接、相手の領土から日本をミサイルで攻撃してくるという事態に備えるために何が必要かというのを検討しております。北朝鮮が日本に対してミサイル攻撃をした場合、それを弾道ミサイルで食い止める努力はいたします。しかし最終的にこの攻撃を防ぐには発射する相手のミサイルの基地や装備を攻撃する必要があります。あくまでもこの措置は2発目や3発目を打たせないための能力であります。日本が先制攻撃することはありません。相手が攻撃した場合の対抗措置ということを検討しております。 従前からこの役割は日米同盟の中で米軍が対応していただいていました。しかし北朝鮮の攻撃能力が高まる中、より万全な態勢を取るために日本もアメリカの補完的な役割を果たすべきではないかと議論をしております。あくまでも日本としてこの能力を持つかどうか、政府にしっかり検討してほしいというのが今回の提言の内容です。 3番目は排他的経済水域に対する攻撃への対応です。最近は北朝鮮の弾道ミサイルがわが国の排他的経済水域に落下することが多くなってきました。この海域には多くの漁船や船舶、日本だけではなくて世界の船が多数おりますし、また民間の航空機も飛んでおります。このことに対しても日本の法的な問題について議論をしております。以上3点が今回総理大臣に出した提言であります。 最後に1つ付け加えますと、北朝鮮は先月初めに4発の弾道ミサイルを同時に発射いたしました。そのとき、北朝鮮が発したメッセージはこの発射は日本にある在日米軍を攻撃するための訓練だということであります。これはもちろん日本の領土に対する攻撃でもありますが、アメリカに対しての攻撃とも受け取れます。私どもは1日も早く日米共同でこのミサイル防衛システムをさらに強固なものにしていきたいと思います。ご清聴ありがとうございました。 【連載】中谷・小野寺元防衛相が会見 全文2へ続く