「初めまして、パラリンピックで金メダルを獲る佐藤です」リオ、東京を経て、パラ陸上の有言実行モンスターがパリで目指すもの
「初めまして、パラリンピックで金メダルを獲る佐藤です」
初めて大会に出たのは、同年12月のマラソン大会。佐藤はパラリンピック選手である先輩たちに「初めまして。僕、次のリオパラリンピックに出て金メダルを獲る佐藤友祈です。よろしくお願いします」と挨拶した。「今よりも20kg以上太っていたし、初心者だし『なに言ってんだ、こいつ』と。あとから言われましたよ(笑)」。それでも怯むことなく競技用車いす制作会社の人にもこう話しかけた。「リオで金メダルを獲るんで、僕をサポートしてください」 もちろんすぐにサポートは得られなかったが、自身のレーサーがなければ次のステップに進めない。この大会の完走を機に、両親に直談判し最初のレーサーの費用を出してもらった。 「両親も、僕が病気になって、これから障害者雇用で働いて生活していくことを考えたときに、この子は一人で生きていけるんだろうかと不安を持っていたと思います。だけど、ロンドンパラを見て『ここに到達したら、心配されなくて済むよな』って思ったんです。金メダルを獲れば、親も心配しなくて済むじゃんって」
銀メダルを手にしてこみあげた“コレジャナイ”感
「最終目的地はリオでの金と決めたので、まず日本代表にならないといけない。それには記録を突破しないといけない。そのためにトレーニングをして、記録会でいい成績を残さないといけない、というように、一つずつ段階を決めてクリアしていく。ある種ゲーム感覚でやってました」 そのすべてをクリアしわずか4年でリオパラリンピックに出場。結果は400m、1500mで2つの銀メダルという快挙だ。「家族も周りもすごく喜んでくれた。でも僕の中には“コレじゃない”っていう感じはすごくあった。だからそこから、東京で金メダルを獲得するためのストーリーを組み立てました。」
有言実行へ。リオの銀メダルから東京へのプラン
「2017年の世界選手権で(リオで負けた)マーティンに勝って土をつける、2018年世界記録を更新する、2019年の世界選手権で勝つ…と計画を立てました」。実際に2017年と2019年の世界選手権で優勝、2018年に世界新記録を出し、2021年、東京でついに2つの金メダルを獲得した。有言実行モンスターの面目躍如だが当人は涼しい顔だ。「金メダルを獲るって決めて競技スタートしたんで。そのための練習は必要なことだから苦にはならないし、ちゃんとやると決めてやりました。昔から決めたことはわりと集中できて没頭できるんです」