「協会や他の親方衆への文句は一切なかった」 白鵬の“兄貴”旭鷲山が明かした、電話で宮城野親方が漏らした“苦い胸の内”
「白鵬に対する仕打ちは厳しすぎる」
宮城野部屋の処遇についてはいまだ先が見えず、心を痛めているファンも多い。そんな中、モンゴル出身者で初めて関取となった元小結旭鷲山(きょくしゅうざん)ことダヴァー・バトバヤル氏(51)がこの問題に口を開いた。前編では旭鷲山が宮城野親方を戒めたという、モンゴルでの“狼藉”について明かしたが、後編では、日本相撲協会による宮城野親方への“イジメ”問題への見解を語ってもらう。【前後編の後編】 【写真を見る】「殺虫剤のスプレーに点火した炎で弟弟子の体を」 非道なイジメで処分された北青鵬 ***
今の宮城野親方を取り巻く状況について旭鷲山が語る。 「僕がもっとも問題だと思っているのは、日本相撲協会が白鵬をいじめ過ぎだということです」 現在、宮城野親方は弟子だった元幕内北青鵬(22)の暴力を止められず、監督責任や日本相撲協会への報告義務を怠った咎(とが)で角界から追放されそうな勢いだ。 2月に公表された処分は、委員からヒラの年寄へと2階級降格させられる極めて重い内容だった。さらに、この4月から宮城野部屋は所属する伊勢ケ浜一門の預かりとなってしまう。 「これまでも角界では若い衆がドツかれたとか、暴力が隠蔽(いんぺい)されたとか、そんなことは数え切れないほど繰り返されてきました。でも、それだけで部屋を取り上げられるまで追い込まれた親方はいないでしょう。このたびの白鵬に対する仕打ちは厳しすぎます」(同)
「日本相撲協会や他の親方衆への文句は一切なかった」
北青鵬の暴力は公表されている内容よりもひどかったといわれており、宮城野親方に弁解の余地はない。だが、日本相撲協会がかつての貴乃花(51)や現在の宮城野親方などの気に入らない敵を排除してきた一方、お仲間には甘い対応を繰り返しているのも事実だ。 昨年、陸奥(みちのく)部屋でも暴力隠蔽問題が発覚したが、協会ナンバー2の事業部長だった元大関霧島こと陸奥親方(65)の処分はたんなる報酬減額にとどまった。 今回の大阪場所が始まって2、3日目に、旭鷲山はモンゴルから宮城野親方に電話をかけている。 「モンゴルのメディアでも、宮城野部屋が消滅しそうな状況について“日本人が白鵬をいじめすぎだ”と問題になっています。そんな中で僕のところにある記者が取材に来た。“だったら直接、聞いてみるよ”と、白鵬本人に電話しました」(同) すると、宮城野親方は1~2分の短い時間でこのように語ったという。 「本人は落ち込んだ声でしたが“僕の責任ですから。一生懸命頑張ります、兄貴”と言いました。日本相撲協会や他の親方衆への文句は一切なかった。“男だな”って思いましたよ」(同)
「白鵬を守らないといけない立場」
今後、旭鷲山は宮城野親方の処遇次第では、日本の文部科学省に厳重な抗議を行う予定だそうだ。 「僕はモンゴル力士の先輩として白鵬を守らないといけない立場だから」(同) 今、宮城野親方をめぐって世論は割れているが、ファンもアンチも処遇に関して公平かつブレない根拠を示してほしいと思っているのは、同じであろう。 さて、旭鷲山の魂の叫びは日本相撲協会に届くのか。それとも、相変わらずの恣意的な処遇やえこひいきが続いていくのか――。角界は岐路に立たされている。 前編では、旭鷲山が宮城野親方を戒めたという、モンゴルでの“狼藉”について明かしている。 「週刊新潮」2024年4月4日号 掲載
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