不破湊がYouTube100万人登録を達成 『VRChat』はぽこピー×スタンミ×弟者という意外な組み合わせを生む
■新規コンテンツも満載 夏の『サンリオVfes』が幕開け サンリオによるVRイベント 『SANRIO Virtual Festival 2024 Summer Edition』が今月13日からスタートした。2月~3月に開催された同イベントのサテライト開催となり、いくつかの公演やコンテンツが再公開されるほか、新規コンテンツもいくつか展開される。 【動画】スタンミ×弟者×ぽこピーが「ぽこピーランド」を巡る回 アトラクション、トークとバラエティ豊かな配信に 目玉のひとつとなる新規コンテンツの代表的なものとしては『Musical Treasure Hunt―Spectral Remix』が挙げられる。VRクリエイターのキヌが監督を務めた本コンテンツは、視覚的音楽表現がフルに盛り込まれた音楽没入体験だ。空間オブジェクトそのものが音を発し、有機的な動きを見せる“生物”と呼ぶほかない存在たちがただよう光景は、有料観覧(1,000円)の価値がある。2023年のパレードを見た人ならば、なつかしいキャラクターの存在もオススメできるポイントだ。 また、再演対象のアーティストライブである『SHOW BY ROCK!!』キャラクターのライブでは、各キャラクターの衣装がアパレルEC「ドットエスティ」のサンリオコラボアイテムに切り替わる施策も組まれている。ただ単に「もう一度やる」では留めない展開に、サンリオの力の入れようを感じるところだ。 9月22日まで様々なコンテンツが展開される『サンリオVfes』だが、実際の中身についてはとてもこのページでは紹介しきれないため、興味がある方は公式サイトをご確認いただくか、エントランスワールドへ直接赴いていただければ幸いだ。 ■不破湊が100万登録を達成 有名アパレルによるVTuber向けLive2D衣装販売にも注目 「にじさんじ」では、新たな100万登録達成者が現れた。2019年デビューの不破湊だ。個人の活動はもちろん、ユニット ・ROF-MAOでの活動もめざましく、にじさんじ男性タレントの中でも特に幅広い人気を得ている一人だ。 直近では音楽活動での活躍もめざましく、12月には初のソロライブを控えている。ROF-MAOの方もYouTubeが100万登録に届いており、男性タレントも大きな支持を集める現在のにじさんじを象徴するかのような動きとも言えるだろう。 「ななしいんく」はアドウェイズとともに、「Amplifyスポンサーシップ」アライアンス広告商品『ななしいんく Amplify』を発表した。運営企業の774株式会社がアドウェイズの連結子会社であることを活かし、X広告として『ななしいんく』タレントを起用したコンテンツを配信できる商品とのことだ。 資料によれば、これはコンテンツ制作費、キャスティング費を含んだパッケージ型の商品であるため、VTuberを活用する場合は通常のタイアップ依頼よりも費用を抑えられる点がポイントだ。こうした動きを踏まえると、「IPとしてのVTuber活用」が、この事務所でも本格稼働していくものと予測される。 興味深い事例として、VTuberをターゲットに定めたデジタル衣料ブランド「ふぁむふぁむ@あくしーずふぁむ」の立ち上げも挙げられる。これはVTuberの顔のモデリングデータと組み合わせることで“着替え”ができる商品だ。レディースアパレルブランド・axes femmeを手掛けるアイジーエーが、クリエイターチーム・うさねこメモリー協力のもと展開する新規ブランドであり、Live2Dモデルで活動するVTuber向けのモデリング済みデータを販売する。 Live2Dモデルの衣装変更は、発注からモデリングまでの費用がなかなかにかさむことから、容易に行えないのが実情だ。「ふぁむふぁむ@あくしーずふぁむ」は、モデリング済みの衣装つきボディを比較的安価に販売している点が特徴的だ。『VRChat』カルチャーにおける市販3Dモデルのような存在が、Live2D VTuberにも根付くだろうか。 ■ぽこピー&スタンミ&弟者 夢の共演が映したもの 夏祭りアップデートが実施された『VRChat』内のテーマパーク「ぽこピーランド」に、ストリーマーのスタンミと弟者が来園した。道中の案内を買って出たのは、甲賀流忍者ぽんぽことピーナッツくんその人。『VRChat』上でVTuberとストリーマーが共演する配信の中でも、特にビッグネーム同士と言える面々での共演が実現した形だ。 配信内容は、全ての施設をめぐれば数時間は余裕でかかる広大なテーマパークをめぐり、アトラクションを楽しむシンプルなものとなった。ジェットコースターやコーヒーカップではしゃぎ、お化け屋敷で震え上がり、アクセサリーをつけて盛り上がる、スタンミや弟者のこれまでの配信でも見られた和気あいあいした『VRChat』配信だ。 その一方で、VTuberである甲賀流忍者ぽんぽこ&ピーナッツくんと、ストリーマーであるスタンミと弟者との間で交わされた会話や議論も見逃せない。それぞれの活動の違い、人との接し方、「友達」の捉え方、配信中のスタンスなどなど、様々なテーマを通しておこなわれた会話は、時折ヒートアップする場面もあった。しかし、不思議とケンカにまでは発展しない、絶妙な温度感のトークだった(その分、ある種のグダグダ感も生まれていたのはご愛嬌)。 こうした深い話に花が咲くのは、ソーシャルVRでは“あるある”である。オンラインを通じたボイスチャットではあるのだが、ボディーランゲージ(と、それができる身体そのもの)が介在することで、より情報量の多いコミュニケーションが成立するからだ。 スタンミはトコロバとの配信を通して「友人との何気ない時間」の尊さという、『VRChat』のコアな価値を広く伝えたが、今回もまた一つコアな価値を伝えたように感じる。なにより、VTuber業界で芽生えた「VTuberとストリーマーの交流」が、ソーシャルVRの世界にもやってきたことは、少し感慨深い。
浅田カズラ