なぜ大谷の日本最速162キロが通用しないのか。
「もうひとつ打者のタイミングを外す作業がキャッチャーのリードです。162キロが出たとしても、それを狙われていると、タイミングは合わせやすいもの。プロの世界ですから狙ったボールは打ちます。僕は、大谷のリードの悪さが気になります。緩急がまったくついていない。ストレート、フォークの2種類ですから狙いも絞りやすい。大きなカーブを使うとか、162キロのボールを162キロに見せる、キャッチャーのリードが必要になってきます」 それでも里崎氏は「まだ大谷は4年目。誰もが通る道です」と経験がプラスになっていくと断言する。 「マー君がそうでした。彼も入って数年は、バックスクリーンに表示されるスピードガンの数字ばかりを気にしていました。それが経験を踏むごとに、打順や、状況に応じて、オンオフをきっちりと入れ替える作業ができるようになってきました。ダルビッシュもそうです。大谷も、メリハリを意識していますが、ギアを入れたときに力むと球速が増してもコントロールが乱れます。今、打たれている原因のひとつですよね。ギアを入れても力むことなくバランスを保つピッチングをできるようになるまで時間はかかりますよ」 オフに筋量を増やして肉体改造。体をでかくしたが、まだイメージと実際の肉体の動きが一致せず、今は、ギアを入れた際にバランスを保つことができていない。しかし、それも修正の努力を続ければ、経験、時間が解決してくれるだろう。打者が、打席で、大谷の162キロを162キロに感じるようになってきたとき、大谷の新しい伝説が始まるのだ。 (文責・本郷陽一/論スポ、スポーツタイムズ通信社)