麻生氏の根強い不満、主流派から「岸田おろし」噴出 裏金、場当たり政策…〝政権の後ろ盾〟も限界 自民・内閣支持率は退陣水域に
斎藤氏はさらに、「(自民党不信の原因は)処分、原因究明が十分になされていないというのが、国民の評価であり実態だ」「リーダーの責任も大いに議論されるべきだ」「(9月の総裁選では)真に党を改革できるような候補を応援したい」とも語った。
自民党のベテラン議員は「麻生氏の意を受け、『岸田首相を見限った』という圧力をかける〝計算ずく〟の発言ではないか」と分析した。麻生派(55人)の支持が得られなければ、岸田首相の総裁再選は極めて厳しい。
追い打ちをかけるように、世論調査も岸田自民党に痛打を浴びせた。
時事通信が13日に公表した世論調査で、内閣支持率は16・4%に落ち込み、2012年12月の自民党政権奪還後、最低を更新した。
朝日新聞が15、16両日に実施した世論調査でも、内閣支持率は22%(前回24%)と岸田内閣発足以降の最低水準となり、自民党支持率は19%(同24%)と20%を割り込んだ。
鈴木哲夫氏「まだ頭のどこかに『解散』」
自民党の中堅議員は「長年懇意にしてきた関係者に党ポスターの張り出しを拒否され、街頭演説でも無視されるなど、地方組織は『危機的状況』を体感している。先日、横浜市連会長が〝退陣要求〟を突き付けたのは当然だ。政権の立て直しは相当困難だろう」と焦りをにじませる。
岸田首相は16日、イタリア、スイスでの外交日程を終え、政府専用機で羽田空港に帰国した。今後は終盤国会(23日会期末)の論戦が焦点となる。18日には参院政治改革特別委員会、19日には岸田政権初となる党首討論が実施される。
岸田首相は外遊中、今国会中の衆院解散や、国会閉会後の内閣改造・自民党役員人事について問われ、「政治改革をはじめとする先送りできない課題に全力で取り組んでいる。結果を出すこと以外は今は考えていない」と記者団に語った。
窮地の岸田首相に打つ手はあるのか。
ジャーナリストの鈴木哲夫氏は「自民党全体に、岸田首相の『顔』では選挙に勝てないという認識が広がっている。麻生氏との亀裂も、岸田首相の『危機管理とガバナンスの欠如』が招いた。麻生氏はこれまで、総裁選支持を約束する代わりに、衆院解散に反対してきた。ただ、岸田首相はまだ頭のどこかに解散の可能性を置いているようだ。今後、党首討論、さらには、野党による内閣不信任案提出も見込まれる。国会会期末に向けて、重要な局面を迎えている」と語った。