トランプは拘置所で“歴代の大統領初”マグショットを撮られ…その前日に起きたこと
「トランプは21世紀で最高の大統領だ」
「はい!」と真っ先に手を上げたのは、「トランプは21世紀で最高の大統領だ」と公言するヴィヴェク・ラマスワミーだけ。でも、他の候補も会場(みんな共和党員)を見まわしてから、おずおずと手を上げた。「トランプはアメリカ一嫌われた大統領」とまで言っていたニッキー・ヘイリー元国連大使と、ありゃ、なんと殺されそうになったペンスまで! いったん上げた手を下ろしたクリス・クリスティ前ニュージャージー州知事には会場からブーイングが浴びせられた。これじゃ、トランプが勝つんだろうなあ。 そこにいないトランプにびくびくしながらの討論会で、候補者たちは38歳で政治的経験ゼロの実業家ラマスワミーをスケープゴートにした。 ラマスワミーの両親はインド移民。オハイオ州に生まれ、ハーバード大学で生物学を学び、イエール大学の法科大学院を出た優等生。イエール在学中からヘッジファンド投資家として働き、数百万ドルを稼いでいたラマスワミーは、2014年にバイオテクノロジー会社を設立し、2023年の資産は、ビジネス誌フォーブスの推定によると6億3000万ドル。 ラマスワミーの名前を世間が知ったのは『Woke, Inc』を出版した2021年。多様性やエコロジーに“Wokeした(目覚めた)”企業の偽善を暴くノンフィクションで、Black Lives Matter(黒人の命も大事)運動を支援しながら、アジアの労働者を搾取してスニーカーを作っているナイキや、フロリダでデサンティス州知事の「ゲイと言わないで州法」に反対しながら、ゲイを抑圧する中国でビジネスするディズニーなどをネチネチと批判し、右翼のスターになった。 討論会でトランプ主義者のラマスワミーは「何もかも大統領の責任ではない」と言って、前副大統領のペンスから説教された。 「ヴィヴェク君。君は知らないだろうが、私はずっとホワイトハウスで働いていたんだがね、大統領は国が直面するあらゆる問題に責任があるんだよ」