【何観る週末シネマ】南インドを代表する俳優たちが集結!壮大なオールスタームービー『PS1 黄金の河』
長年女性蔑視が問題視されてきたインド
今作は、タミル語圏内ではポピュラーな時代小説を原作としているが、マニラトナムが撮ったことで大きく変わった点というと、おそらく女性の存在感に違いないだろう。 中心核となるのは、『ミモラ-心のままに』(1999)や『心~君がくれた歌~』(2016)など、日本でも出演作品が多く上映されており、インド国外でも人気の高い名女優アイシュワリヤー・ラーイがナンディニ。 また、常に出演予定作が15以上を保持し続けるほどの人気女優であり、『Raangi』(2022)では、何者にも屈しない強い女性を体現するなど、演技の幅をトリシャーがクンダヴァイを演じている。 このメイン女優ふたりのそれそれのパート、そしてふたりが対面した際の、短くても奥行を感じさせる掛け合いは今作最大の見所といえるかもしれない。 メインではないが、インドでは知名度の高い女優ソビタ・ドゥリパラとアイシュワリヤー・レクシュミなどが演じるサブ的な女性キャラクターたちにもスポットが当たっている点からも多面的視点のバランスの良さを感じる。 絶対的な男性優位な時代を舞台に歴史を描く際に、女性を現代的に描くのは、日本でも近年の大河ドラマや木村拓哉主演作『レジェンド&バタフライ』(2023)がそうであったように、世界的なトレンドとなっていて、珍しいことではなくなってきた。しかし長年女性蔑視が問題視されてきたインドにおいてもそれが感じられるようになったのは、大きな時代の変化といえるだろう。 そして、後編にあたる『PS2 大いなる船出』も6月14日から全国順次公開される。こちらも合わせて注目してもらいたい。 (C) Madras Talkies ©Lyca Productions 〇作品情報 出演:ヴィクラム、アイシュワリヤー・ラーイ、ジェヤム・ラヴィ、カールティ、トリシャー・クリシュナンほか 監督:マニラトナム 音楽:A.R.ラフマーン 配給:SPACEBOX 宣伝:シネブリッジ 原題:Ponniyin Selvan Part One/2022年/インド/タミル語/シネスコ/ 5.1ch/167分 『PS1 黄金の河』 5月17日(金)より新宿ピカデリー他全国順次公開!
バフィー吉川