阪神・岡田監督「なんでこんなシュンとなるんや」 ゲラ痛恨初球被弾 巨人と3・5ゲーム差も「ひとつ負けただけやないか」
「阪神3-4DeNA」(11日、甲子園球場) 逆転Vへの正念場だ。阪神は同点の八回に登板したハビー・ゲラ投手(28)が痛恨の初球被弾。伏兵の桑原に浴びた決勝弾で首位・巨人とのゲーム差は3・5に開いた。それでも岡田彰布監督(66)は「ひとつ負けただけやないか。なんでこんなシュンとなるんや」と前を向き、残り14戦での逆襲を誓った。 【写真】勝ち越しソロを打たれ呆然 魂が抜けたような表情の岡田監督 熱狂に包まれていたスタンドが静まり返った。高々と上がった打球は浜風に乗って、左翼席へ伸びていく。ゲームの流れを引き戻したはずが、まさかの被弾に屈した。 「引っ張ったけど、初球やろ。簡単に真っすぐを。真っすぐに強いバッターやからな」。岡田監督の表情も曇った。 助っ人の1球が誤算だった。3-3の八回、村上に代えて、ゲラをマウンドに送った。1番・桑原への初球だ。内角156キロを振り抜かれ、手痛い勝ち越しソロを浴びてしまった。「コースって、ボールから入ったらええやんか。簡単なことやん」と岡田監督。今季、口酸っぱく言い続けてきた初球被弾が繰り返され、苦言が口を突いた。 勝ちパターンをつぎ込む展開に持ち込んだだけに痛恨の1敗だ。2点を追う六回は先頭・森下が3試合連続の15号ソロ。チャンスを広げ、難敵・ジャクソンをマウンドから引きずり降ろした。1死一、三塁からは2夜連続でセーフティースクイズを敢行。坂本は一塁側へ絶妙なゴロを転がし、三走・大山が同点のホームイン。痛快な岡田マジックに、虎党は勝利を信じて疑わなかった。 一気呵成(かせい)に攻めたかったが、終盤は決定打を欠いてしまう。3-3の七回は無死一塁から近本が遊ゴロ併殺。1点ビハインドの八回は1死二塁の好機で佐藤輝が中飛、代打・糸原も二ゴロ。九回も相手のミスから1死二塁と一打同点、一発サヨナラの場面をつくったが、代打・渡辺が一邪飛、近本も左飛に倒れた。最後まで打線は執念を燃やしたが、指揮官は不満そうに首を横に振る。 「なんで?粘りを見せるって、勝っていかなあかんねんから、粘ってよく頑張ったなんてないんやから。勝ち負け言うてるやん、そんなもん」 マツダスタジアムでは首位・巨人が逆転勝ちを収め、その差は3・5に広がった。そしてDeNAが再び2差に接近してきた。リーグ連覇へ厳しい状況となり、会見場には重苦しいムードが漂った。そんな雰囲気を察してか、岡田監督はあきれたように言った。 「何でや、今日ひとつ負けただけやないか、何でこんなにシュンとなるんや」。残り14試合。うつむく必要はない。将は前しか向いていない。