石破首相、続投の意向 自民党が「心底から反省し生まれ変わる」必要強調
自民党が過半数を失った27日の衆議院選挙から一夜明けて、自民党総裁の石破茂首相は28日に党本部で記者会見を開き、「厳しい結果」は国民の「叱責」と受け止めていると述べ、自民党が「心底から反省」する必要を強調した。そのうえで、「職責を果たしてまいりたい」と述べ、続投する意向を表明した。連立与党が過半数を割った状態での政権運営については、公明党以外との連立を「いまこの時点で想定しているわけではない」と話した。 衆院選の結果、自民党と公明党の与党は計215議席にとどまり、過半数(233議席)を割り込んだ。自民単独でも191議席で、公示前の247議席から大きく減らした。 これについて石破首相は記者会見で、「国民の皆様方から、極めて厳しいご審判を頂戴をいたしました。痛恨の極みであります。これを真摯に厳粛に受け止め、わが自民党は心底から反省し生まれ変わっていかなければなりません」、「今回の厳しい結果は、自由民主党の改革姿勢に対する国民の皆様方の厳しいご叱責と受け止めております」と述べた。 選挙結果を大きく左右したとされている党内の政治とカネの問題については、「身内の論理や党内の理屈だと、国民の皆様から思われていることを今後は一切排除し、私自身も原点に返り、厳しい党内改革を進め、なかんずく政治とカネにつきましては、さらに抜本的な改革を行ってまいります」と述べた。 具体的な内容としては、「政策活動費の廃止、調査研究広報滞在費(旧文通費)の使途公開、残金返納、改正政治資金規正法に基づく第三者機関の早期の設置といった政治改革について、党派を超えた議論を行い、速やかにその実現を図っていく必要がある」と話した。 今後の政権運営については、「今この時点で(他党との)連立は想定しているわけではない」と答えたうえで、「それぞれの党の主張に対して寄せられた、国民の共感や理解を謙虚に受け止め、取り入れるべきは取り入れることに躊躇(ちゅうちょ)があってはならない」とした。 「まずは、よく協議をすることから始めなければならない」とも述べ、「党派は違っても一緒にやっていく姿勢が国民にご理解をいただけるよう、一番多くの議席をちょうだいした責務を、我が党として果たしていく」と話した。 「国政の停滞を避け 政治改革や経済改革などの課題に取り組み」、「日本創成を実現していく所存」だとも強調した。 他方、公示前の98議席から今回148議席へと大きく増やした最大野党・立憲民主党の野田佳彦党首はこの結果を受けて、野党第一党の党首として首班指名を目指し、ほかの野党に協力を呼び掛けていく姿勢を示している。 憲法第54条は、「衆議院が解散されたときは、解散の日から40日以内に、衆議院議員の総選挙を行い、その選挙の日から30日以内に、国会を召集しなければならない」と定める。複数報道によると、11月中旬までの召集で調整が進んでいるという。 特別国会では、衆参両院の国会議員による選挙で首相が指名される。両院で過半数を得た者が首相に指名されるが、両院の指名が異なる場合は、衆院の議決が参院に優先する。衆議院規則は、1回目の投票で投票の過半数を得た議員がいない場合、投票の最多数を得た2人で決選投票を行い、多数を得た者を当選者とすると定めている。 自民党が公明党以外と連携せず、過半数がないまま石破氏が首班に指名された場合、石破氏は少数与党の党首として政権を担う。しかし自民党はこれまでと異なり、法案を自公だけでは可決できなくなる。 理論上は立憲民主党を中心に野党が結集し、過半数を形成する可能性もあるものの、日本ではこれまで野党が幅広く連携したり、野党に政権担当能力があると有権者を十分に説得したりする展開が少なかった。 NHKによる9月上旬の世論調査では、立憲民主党の支持率は6.6%、自民党は31.3%だった。 (英語記事 Japan PM vows to continue ruling despite bruising loss)
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