ウクライナ軍が戦車の運用で初めて優位に立った可能性 ロシア側はドローンで行動制約
ウクライナ軍はロシアが起こして2年11カ月近くたつ全面戦争で初めて、戦車の運用でロシア軍に対して優位に立っている可能性がある。もっともそれは、およそ1300kmにおよぶ戦線のごく一部の区域に限られるかもしれない。 「わが軍の戦車は掩蔽(えんぺい)された射撃陣地からしか作戦行動ができない」。ロシアのある軍事ブロガーはエストニアのアナリストであるWarTranslatedが紹介・英訳している投稿のなかで、そう不満を述べている。 最前線の何kmも後方に控え、敵の目につきにくい陣地から射撃するロシア軍の戦車は、事実上、精度の低い榴弾砲に成り下がっている。戦車の設計者が意図していたような、突撃を先導する戦闘車両の役割は果たせていない。 対照的に、ウクライナ軍の戦車は「より自由に」作戦行動をしていると、同じ軍事ブロガーは説明している。 あらゆる種類のロボットシステムが幅をきかせるようになっているこの戦争ではよくみられるが、これもまたドローン(無人機)がもたらした結果だ。この軍事ブロガーは「敵はドローンに関して十分な規模と多様性を達成し、運用のための戦術も磨いている」と書いている。 ウクライナ側が2個中隊規模のドローン部隊を配置し、各数十人の操縦士を従えているような前線では、ロシア側の戦車や装甲車は「単純に、攻撃を開始するためのラインにたどり着けない」という。これの車両は接触線の数km後方でドローンの攻撃を食らうことになる。 この軍事ブロガーのみるところ、ウクライナ軍の戦車は敵のドローンに対してより安全な状況を享受している。ウクライナ側による激しいジャミング(電波妨害)や、ロシア政府の腐敗した官僚に監督されたドローン製造の粗末な品質管理などのために「わが軍のドローン作戦ははるかに弱い」という。 そのため、ウクライナ軍の戦車は接触線まで進んでいき、大砲や機関銃でロシア側と直接交戦できる。同じ軍事ブロガーによれば、ロシア軍にとってほぼ唯一の救いは、対戦車誘導ミサイル(ATGM)を大量に配備していることだ。