信販会社エヌシーガイドショップ 会社更生法の適用申請へ 負債額54億円はさらに拡大の見込み 過払い金返還の長期化が経営を圧迫 事業は別会社へ譲渡予定 鹿児島
2008年から私的整理による経営再建中だった信販会社エヌシーガイドショップ(鹿児島市、田中信一郎社長)が、近く会社更生法の適用を東京地裁へ申請することが18日、分かった。グレーゾーン金利の無効化で発生した過払い金返還が長期化し経営を圧迫した。負債額は現時点で約54億円。事業は別会社へ譲渡予定で、同社は「会員や加盟店、取引先に影響がないように進める」としている。 【写真】カード発行の新規受付と再発行休止のお知らせを掲示しているサービスセンター=15日、鹿児島市
同社によると、確定している債権者は商工中金など六つの金融機関。過払い金の返還をまだ請求していない借り手は約9000人に上り、負債額はさらに拡大する見込み。 経営陣が続投したまま更生計画に関与する「DIP型会社更生」を採用し、田中社長が管財人となる。事業は、同社と同じく「協同組合エヌシー日商連」に加盟するNCカード(北海道帯広市)が今年4月設立した新会社へ引き継ぐ予定。カード会員や加盟店、テナント契約する取引先などに影響はないという。従業員32人は再雇用する方針。 エヌシーガイドショップは08年、金融機関主導の「私的整理に関するガイドライン」を適用し再建を開始。負債総額は131億円だった。メインバンクの商工中金を含む八つの取引金融機関が40億円を債権カットや債務の株式化(DES)で支援した。その後も一部金融機関がDESにより約11億円を追加支援したが、過払い金返還の負担は大きかった。24年3月期決算は2億3842万円の純損失と3年連続の赤字を計上、私的整理での再建を断念した。
■エヌシーガイドショップ 1952年に鹿児島市天文館や中央駅地区の商店主らが設立した協同組合「鹿児島ガイドショップ会」が前身。84年、エヌシーガイドショップへ名称変更した。鹿児島県内唯一の地場信販会社として、NCカードによるクレジットカード事業やキャッシング、タクシーチケット、不動産事業などを運営する。現在のカード会員数は約7万8000人、加盟店数は約3800社。 ■グレーゾーン金利 利息制限法の上限金利(年15~20%)と、出資法の上限金利(年29.2%)の間の金利を指す。消費者金融などによる無担保個人向け融資に適用されていた。多重債務問題の是正や消費者保護を背景に、最高裁が2006年1月、同金利を事実上無効とする判断を示したのをきっかけに借り手からの返還請求が急増。同年12月に貸金業法、10年6月には出資法が改正され、グレーゾーン金利は廃止となった。
南日本新聞 | 鹿児島