なぜ再浮上、首都高移設「日本橋」再生計画 今度こそ青空取り戻せるか?
景観だけが理由の移設は高額費用が問題だったが……
しかし、移設費用が5000億円超と試算されたことから、移設計画はトーンダウン。その後、目立った動きはありませんでした。一度立ち消えになった首都高の移設は、なぜ再浮上したのでしょうか? 「以前の議論は、都市景観を向上させるという目的がひとつだったこともあり、費用対効果の面で頓挫してしまいました。ところが、歳月が経過して首都高の老朽化が目立ってきました。更新のついでに移設も実行してしまうことが検討されたのです。また、同時に首都高に隣接する5つの地区で再開発計画が持ち上がっていることも大きな要因になっています。再開発と首都高の移設をセットで進めれば、約5000億円とされている移設費用を大幅に縮減できる可能性があるのです」(同)。 交通に影響なく1キロ以上もの高速道路を移設する工事は、かなり大掛かりになることが予想されます。そのため、仮に首都高の移設が決定しても、2020年の東京五輪には間に合いません。それでも日本橋に青空を取り戻そうとする活動している人たちは五輪とは関係なく、長い目で日本橋の未来を考えて首都高移設を進めようとしています。 首都高移設と日本橋再生の議論は緒に就いたばかりで、着工・完成のスケジュールなどの具体的な話はこれからです。江戸の伝統を受け継ぎつつ、新しい時代に向けて走りつづける日本橋界隈。果たして、どんな街へ変貌するのでしょうか? 小川裕夫=フリーランスライター