ソフトバンク・和田毅、引退「22年間のすべてが思い出。誇りに思う」 最後のNPB「松坂世代」&「ダイエー戦士」
日米通算165勝を挙げたソフトバンク・和田毅投手(43)が5日、今季限りで現役を引退すると発表。福岡市の本拠地みずほペイペイドームで記者会見を行った。今季は度重なるけがで2勝2敗に終わり、ユニホームを脱ぐことを決断。プロ野球では1980年度生まれの「松坂世代」最後の現役選手だった。真っすぐに野球と向き合う姿勢、真摯(しんし)な人柄で尊敬を集めた左腕が、22年の現役生活に別れを告げる。 涙は一切なく、終始笑顔だった。和田が今季限りでの現役引退を電撃発表した。最後の「松坂世代」であり「ダイエー戦士」でもあった日米通算165勝左腕が、ついにユニホームを脱ぐ。 「22年間のすべてが思い出。悔いのない、やり残したことのない野球人生。誇りに思う」 チームが4年ぶりにリーグ優勝した今季は開幕前の左手指の不調から始まり、左肩痛、腰痛とけがに泣いた。登板8試合で2勝2敗、防御率3・76。9月25日の西武戦でプロ初ホールドをマークしたが、ポストシーズンへ向けた練習中に左脚を負傷し再離脱。その後は登板がなかった。 「5年前から左肩の痛みと闘いながら投げていた。体はボロボロだと感じた」 2003年に早大から自由獲得枠でダイエーに入団。1年目に日本一の胴上げ投手となって新人王に輝くと、12年から4シーズンは米大リーグも経験した。群を抜く練習量で切れのある真っすぐを磨き続け、多数の若手に師事されて、オフの自主トレでは球団の垣根を越えた「和田塾」が行われた。9月に球団に引退を意思を伝えた際にはシーズン中の引退試合も打診されたが「野手の方が三振してくれたり、そういう(ことが)空気じゃないですけど、ある。僕のプライドは、真剣勝負で22年間奪ってきたアウトの中にその1つのアウトを入れたくなかった。自分としては最後のわがまま」と固辞した。 松坂大輔氏がけん引した1980年度生まれの世代では、プロ野球で現役を続ける最後の一人だった。「僕で一旦、『松坂世代』が終わってしまう。本人に連絡したら、自分が辞めることを悲しんでくれた」と松坂氏とやり取りがあったことも明かした。 当然、将来的に指導者としても期待される。「しっかり勉強してそういう日が来るのであれば、見合う人物になって戻りたい」と語る。いつかホークスに戻る日を目指し、ユニホームを脱ぐ。(柏村翔)