トラック開発にもAIを導入? ZFが恒例の技術プレビューを実施!
ゼロ・エミッションには柔軟な道筋?
いっぽう、ZFの商用車部門(CVSディビジョン)は、新型のハイブリッド・トランスミッションを開発し、輸送の脱炭素に向けて商用車技術の開発ペースを上げている。 同社のAMT(自動化機械式トランスミッション)の新型となる「トラクソン2ハイブリッド」は、商用車用のハイブリッド技術により運送会社が内燃機関のアドバンテージを維持しながら排出量を大幅に削減することを可能にするという。 脱炭素技術として期待されたバッテリーEVはやや停滞しているが、ZFは乗用車用のハイブリッド技術の開発でも豊富な経験を持っている。これを商用車向けの実用的なソリューションに適用する研究開発も行なっている。 乗用車と商用車など、モビリティの異なる領域から技術を導入できることは、ZFの大きなアドバンテージとなっており、ZFのCVSディビジョンでトップを務めるピーター・ライアー氏は次のように話している。 「トラクソン2ハイブリッドの開発においては、弊社の部門間の相乗効果を活用し、商用車の脱炭素を効率的に進めるために実用的な技術を創出することで、お客様のニーズに迅速かつ柔軟に対応できることを証明しました。 変化し続ける業界のニーズを満たすだけでなく、製品と製造の両面において柔軟で、また、変革のペースを設定できるような強力で信頼できるパートナーとしてのZFの地位はより確かなものになるでしょう」。 もちろん、次世代の商用車用電動ドライブラインとして、バッテリーEVや水素燃料電池車などに向けた様々なソリューションも提供している。 電動化キットはセントラルドライブ方式の「セトラックス2」及び「セトラックス2デュアル」や(「セトラックス(CeTrax)」シリーズはいすゞ自動車の「エルフEV」も採用)、電動アクスル方式のアクストラックス2、アクストラックス2デュアル、アクストラックス2LFなどがあり、メーカーがゼロエミッションの商用車を製造するために必要となる重要なコンポーネントを提供している。 電動アクスルのアクストラックス2はトレーラ(被けん引車)にも組み込むことが可能で、ZFでは内燃機関のトラクタと電動トレーラを組み合わせることでハイブリッド化するという従来車にはないコンセプトも提案している。また、電動トレーラをBEVトラクタと組み合わせて、全体の航続距離を延ばすことも可能だ。 こうしたコンセプトは現在当局の承認待ちだが(トレーラに駆動力を持たせるには法改正も必要)、燃費を最大16%、プラグイン方式なら最大40%改善するという。 さらに、新たなイノベーションとしてブレーキと電気駆動の協調プログラムがテクノロジー・デイで披露された。駆動系とEBS(電子制御ブレーキ)コントロールを最適化することで、制動時のエネルギー回生率を向上し車両の走行距離が延びるほか、よりスムーズな発進が可能になるそうだ。