大山千枚田保存会が英語版のPR資料作成へ 米国人女性が強力助っ人に 鴨川(千葉県)
鴨川市平塚に住む米国人、クリステン・マックウィリンさん(57)が、NPO法人「大山千枚田保存会」(石田三示理事長)の英語版の新たなPR資料づくりを進めている。 同会は、これまでも英語のPR資料を備えていたが、人手が足りず20年近く本格的な情報の更新に手を着けられなかった。コロナ禍が明け、外国人観光客らの問い合わせが増える中、強力な助っ人に同会は期待を寄せている。 クリステンさんが英語版資料の基にしているのは、活動参加希望者が見学に来た際などに使う、パワーポイントの日本語資料。大山千枚田の四季の風景や米づくりの場面、田んぼの生き物といった写真をふんだんに使い、会の活動や里山の様子、年間スケジュールなどを紹介している。 クリステンさんは、この資料を見ながら同会が展開しているさまざまな活動について、「外国からの来訪者を、どの活動にどのように呼び込むか」を考え、英訳したり、新たな英語の説明文や写真を加えたりして製作を進めている。 仕事場は、同会の拠点である「棚田倶楽部」から歩いて数分の自宅。自分のパソコンで、グラフィックデザイナーやイラストレーターなどの仕事の合間に作業に当たる。 米国東海岸、ペンシルベニア州の出身。IT企業に勤めていた1999年、東京に転勤になった。来日前は、ほとんど日本に興味がなく、日本語もまったく話せなかった。だが、日本の慣習や生活を覚えることが楽しくなり、今の日本定住につながった。 2015年に日本の永住権を取得。それを機に、日本在住の英国や豪州出身の友人らから紹介された鴨川市に住宅を借り、物価が高い東京から夫のトッドさん(54)と移り住んだ。 引っ越して数週間後、自宅周辺を散歩していて偶然、棚田をライトアップするイベントに多くの人が集まり、にぎわっているのを目にして、同会の存在や活動を知った。昨年9月、棚田倶楽部とは目と鼻の先にある空き家を購入して自宅を新築。同会に「何か手伝うことはないですか」と申し出た。 同会事務局の牛村展子さんは「英語資料の内容を更新しなきゃと、ずっと思っていた。だけど時間がなかなか取れなかった。そこにクリステンさんから連絡をもらった。縁ですよね」。 同会は、資料の完成後は外国人の見学者向け投影資料として使う他、プリントして配布するなどの活用を考えている。このほど出来上がったテスト版を今後磨き上げ、「良いものにしたい」とクリステンさんは意気込んでいる。