「Consensus 2024」の会場で出会ったクリプトな人たち
テキサス州オースティンで開催された「Consensus 2024」に出席したのはブロックチェーン開発者やスタートアップ起業家、ベンチャーキャピタリスト、さらにはこの分野への進出を図るTradFi(伝統的金融)関係者だけではない。 「Consensus 2024」の会場で出会った、ホットで、ユニークで人たちの、ほんの一部を紹介しよう。 鞭を持ったスターフォックス(Starfox)氏が、JPモルガン(JPMorgan)のジェイミー・ダイモン(Jamie Dimon)CEOにそっくりの人物と一緒に会場を歩くのを見たかもしれない。彼女は、起業家グンナー・ラブレース(Gunnar Lovelace)氏が立ち上げたアート/抗議プロジェクト「UNFK」の一員だ。スターフォックス氏はプライベートでは、ラブレース氏と彼のガールフレンドの友人で、Starfox and the Fleetというデヴィッド・ボウイ風のグラムロックバンドでも活動しているという。 「これが普段の私の服装よ」とスターフォックス氏は言った。冗談ではないと思う。 ダスティン・リー(Dustin Lee)氏は、アイダホから車でConsensus 2024に参加した。参加理由の1つは、自身のWeb3マーケットプレイス「DeStore」の知名度を上げるためだ。 リー氏が、暗号資産(仮想通貨)とECプラットフォームShopifyの融合を表現したマーケットプレイスは、NFTに特化した「物理的な世界とデジタルの世界の架け橋となる」RMRKプロトコルを使用している。プライベートでリー氏に出会ったら、彼はあなたにカラフルなビーズ製のキャンディブレスレットを投げてくれるかもしれない。 もしあなたが「choose rich(リッチであることを選ぶ)」というフレーズを聞いたことがあるとしたら、それはクレメンテ・ヴァラス(Clemente Varas)氏とイージー・イーツ(Easy Eats)氏が世に送り出したもののせいかもしれない。 このカウボーイコンビは、ニック・オニール(Nick O’Neill)氏が率いるBodoggos Entertainmentのコンテンツプロデューサーとして働いている。「暗号資産を楽しくするのが目的なんだ」とイーツ氏は言う。 平均的なBoDoggosのビデオは、思いつくのにわずか5分ほどしかかからないことが多く、数分で撮影、編集、投稿されるが、教育や有料広告の制作には3日かかることもある。 「ニックは実際に会うともっと面白い」とヴァラス氏は言う。 オースティン北部にあるAustin Embroideryの創業者であるデイビッド・クイン(David Quinn)氏は、テクノロジー、アート関連の大規模イベント「SXSW」で初めてGenerative Goodsに出会った。Web3カンファレンスに参加するのは今回が初めてだ。クイン氏は3年間会社を経営し、約10年間アパレル業界に携わってきた。 ダニエル・カルデロン(Daniel Calderon)氏は、帽子や洋服のようなユニークな一点物の物理的アイテム(と取引可能なそのデジタル版)を作成するGenerative Goodsでコードを書いている。 アートの中心地であるテキサス州マーファに本社を置く同社は、現在はまだ概念実証の段階だが、いつの日かアルゴリズムによって生産された商品を店頭に並べたいと考えている。 「ユニークな有形資産を大規模に生産できることを証明したい」とカルデロン氏は言う。 昨年、Association for Women in Crypto(AWC:暗号資産業界における女性のための協会)が200の暗号資産企業で500人を対象に実施した多様性に関する調査によると、業界で働く女性の約80%が職場で性的、精神的、物理的に危険を感じていることがわかった。男性の50%近くも同様の回答をしている。 AWCの創設者兼CEOのアマンダ・ウィック(Amanda Wick)氏は「一般的に、暗号資産業界はテック業界よりもスコアが低かった」と述べたが、それでも前進の兆しも見えると指摘した。例えばConsensusは今年、より多様性が感じられるようになったと言う。そして企業は、特に人材をめぐって競い合っている場合には、改善できるという証拠もあると言う。 「有害な職場を望まないのなら、より良い会社から始めなければならない」とウィック氏は語った。 デイビッド・ビショフ(David Bischoff)氏は、暗号資産トロン(TRX)を保有するすべての人たちで構成される分散型組織TronDAOのコミュニティリーダーだ。 ビショフ氏は先日、アフリカから来た女性に会ったという。その女性は、ヨーロッパの銀行はしばしばアフリカの金融機関からの送金を受け付けようとせず、トロンは彼女にとってライフラインになっていると語った。「実際にためになることをするのは気分がいい」とビショフ氏。「私は自分が信じていることの支持者だ」と続けた。 TronDAOのシニアエコシステム開発・投資チームのリーダー、ハンター・ロジャース(Hunter Rogers)氏も同意する。「この仕事をするにはコーヒーをたくさん飲まなければならないが、大好きだ」とロジャース氏。2人とも、給与はトロンブロックチェーン上でUSDTで受け取っている。 ティボー・パロマレス(Thibault Palomares)氏とガレン(Galen)氏は、自分たちのミームコインのティッカー「$USA」が真似できないものであることを認めている。4週間前にプロジェクトの「コミュニティ奪取」を主導する前、2人はアーティストであり、プロのミームコイントレーダーだった。 今もそれは変わらないが、現在は、$USAの利益を使って軍の退役軍人を支援する慈善団体に寄付するチャリティーの運営責任も担っている。これまでに3800万ドル(約60億円、1ドル157円換算)以上を集めている。 ジェン・ウィートリー(Jen Wheatley)氏は、「イーサリアムの世界」出身だが、Moonbeamの共同設立者ケイティ・バトラー(Katie Butler)氏に紹介されて初めてポリゴン(Polygon)を使った時から、ポリゴンに惚れ込んだ。約15年の経験を持つ広報のプロであるウィートリー氏は現在、Disruptive社のマーケティング・コミュニケーションディレクターを務めている。 ピンク・アライアンス(Pink Alliance)は、これまでとは違った形でメタバースに挑戦している。ほとんどのメタバースプロジェクトがゲームに焦点を当てがちなのに対し、彼らはコミック文化を取り入れようとしていると共同創業者のラスール・エルダー(Rasul Elder)氏は言う。 同システムは、イーサリアム、ソラナ(Solana)、ポリゴン、オーディナルズ(Ordinals)をつなげようとしている。「まだオーディナルズへの正確な対処法はわかっていない」とエルダー氏は認め、ビットコインがネイティブでスマートコントラクトに対応していないことを指摘した。 「このプロジェクト全体が、メタバースそのものを基盤にしている」とエルダー氏。彼と、同僚であるCEOのMr.Pink氏とアーティストのAttabotty氏は、ユーザーが自分のキャラクターやストーリーをデザインし、ウェブの世界で使えるようにツールキットを提供したいと考えている。 |翻訳・編集:山口晶子、増田隆幸|画像:Daniel Kuhn/CoinDesk|原文:Meet the Citizens of Consensus
CoinDesk Japan 編集部