“ダイコンとサツマイモをお供え” 奥能登の伝統行事「あえのこと」にも地震の影響 延期の判断も
北陸放送
奥能登地区に伝わる五穀豊穣を祈る農耕神事「あえのこと」。ユネスコの無形文化遺産にもなっているこの伝統行事も、地震の影響で今年は大きく形を変えました。 【写真を見る】“ダイコンとサツマイモをお供え” 奥能登の伝統行事「あえのこと」にも地震の影響 延期の判断も ■盛大なご馳走が…水が使えず野菜を供える 輪島市三井町で執り行われたあえのこと。例年なら田の神様の前にはご馳走が供えられますが、地震で水が使えないことなどから大根とサツマイモのみです。 12月に迎え入れた田の神様を新しい年の豊作を願いながら2月9日に再び田んぼに送り出します。田んぼへ向かう道中にはこんな歌が効かれます。 「や~とな~今年は大地震でよ~。あらよ~いよいと。家も倒れて、山も崩れたよ~」 小山栄さん 「地震には負けないぞというのはみんな思っていると思うので、あと頑張るだけ。今年もどうか実り多き年に田んぼを畑を守って下さい」 一方、20年近く、神事を続けている輪島市白米町の川口喜仙さんは、初めて神様の送り出しを1か月先延ばしすることに決めました。 川口喜仙さん 「ごはんと味噌汁と青物だけ、申し訳ない。もう1か月くらいおってねと、それだけです。(来月は)水が来るかどうか分からないし、そのときにできる精一杯のごちそうだけは用意したい」 集落では半数以上の住民が市外に避難していて、川口さんは伝統文化の継承も難しくなるのではないかと懸念します。 川口喜仙さん 「年配の方が多いので、この災難なときに田んぼをやめられて、あえのことも当然やめる。寂しいですね、正直寂しい」
北陸放送