「戦力の集中」運用に背いたゆえのミッドウェー敗戦
爆弾被害が小被害で済むかもしれない。日本空母の数が増えればアメリカ機の目標も分散する。最初の急降下爆撃では39機が空母3隻を狙い命中10発、2回目の攻撃では40機が残る1隻を狙い命中4発を得ている。 その目標となる空母数が増えると1隻あたりの投弾数は減る。少数投下であれば命中なし、あるいは1発命中で切り抜る空母が出るかもしれない。 最後に鎮火や曳航の実現性も高まる。実戦例よりも水上艦の数が増えれば、空母への防火隊派遣の余地も出てくる。それで火災が鎮火すれば空母は本土まで曳航できる。味方魚雷処分による全損回避もありえる。
■反撃にも成功する 第3に反撃も成功する。仮に、米空母による先制攻撃を受けても日本側は反撃で3隻撃沈破に追い込める。 集中運用により最初の急降下爆撃を切り抜ける空母は増える。これは第2として述べたとおりである。実戦例では4隻中3隻が撃破され「飛龍」1隻だけが残った。それに当てはめると生存空母は3隻に増える。 結果、反撃規模も拡大する。10時58分に発艦した第1次反撃は、実戦例では「飛龍」に搭載した艦爆18機、艦戦6機の24機の小林隊である。それが3隻分に増える。どの空母が生き残るか次第だが、艦爆数は2~3倍に、護衛の艦戦は3倍に増える。
アメリカの空母「ヨークタウン」撃沈は確実になる。日本側が発見した唯一の空母であり全力攻撃をしかけるからだ。 仮に艦爆18機が倍の36機となった場合、攻撃実施数は実戦例の8機から16機あるいは26機に増える。単純に投弾機が8機を倍にすれば16機、米艦隊の迎撃阻止数10機を基にすれば残る26機が投弾する。爆弾命中数は実戦例の3発から6発ないし10発に増える。 第2次反撃も充実する。実戦例では13時31分に魚雷搭載が完了した艦攻10機と護衛の艦戦6機編成の友永隊が発艦する。それも空母3隻分になる。
ただ「ヨークタウン」撃沈後であり、実戦例でも米空母「エンタープライズ」「ホーネット」の2隻は18時10分まで未発見である。攻撃は2隻の空母発見以降となるため当日には実施できるかはわからない。 いずれにせよ、以降の戦いは日本有利となる。空母数は日本3隻、アメリカ2隻である。しかもその頃には米空母艦載機は消耗している。 日本防空戦力の充実から230機中で140機は喪失しているだろう。これは実戦例における海戦終了時の数字である。