ニューヨークの人気ヘアサロン「ウォーレン・トリコミ」で20年以上売り上げNo.1の日本人スタイリスト 成功の秘密は「常に要求を上回る提案をする」
多くの著名人を顧客に抱えるという米ニューヨークのヘアサロン「ウォーレン・トリコミ」。200人以上いるスタイリストの中で、売り上げナンバーワンの座を20年以上譲らずにいる。「常に要求を上回る提案をする」。人気が人気を呼び、客足が途絶えない。 実家は鹿児島市の理容店。鹿児島工業高校に通いながら通信教育で美容師の資格を取得し、福岡市の店で修業した。もとより好奇心旺盛な性格。「若いうちにもっといろいろなことを吸収したい」と考え、店主に紹介されたニューヨークの日系サロンの門を24歳でたたいた。 「紹介といっても電話番号を教えてもらっただけ。ゼロからのスタートだった」。英会話は身ぶり手ぶり。電話を録音して何度も聞き返すなど、日々の実践で少しずつ身に付けた。 1年後にフリーランスへ転身した。ニューヨークは人種のるつぼ。さまざまな髪質の客がおり、求められるスタイルも多種多様だった。現場にはいつも、ウィッグやヘアメーク道具を入れたスーツケースを2個持参し、どんな要求にも応えられるよう努めた。一人一人との出会いを大切にし、人づてに仕事をもらった。
その後ウォーレン・トリコミにアシスタントとして入った。日本の同世代が店を構え始める20代後半、アシスタントにとどまっていることに焦りもあったが、「積み重ねたものを無駄にしたくない」と自分の道を信じた。「日本人らしさなのか、細かい気配りができると評価してもらえた」。30歳でスタイリストに昇格するころには、体当たりで培った技術とコミュニケーション力はすでに信頼を獲得しており、予約が殺到した。 渡米して30年以上。逆境にめげなかった秘訣(ひけつ)は「目標を高く持ちすぎないこと」だ。現実的な目標を達成するたび「もう少しいけるな」と考え、向上を繰り返してきた。現在も美容ブランドを立ち上げて髪に良いくしを開発するなど、成長に満足していない。 今年8月下旬に帰省。「鹿児島は素晴らしい街。その良さを知るためにも、内にこもらず外へ挑んでほしい」と郷土の若者に期待をかけた。「さまざまな文化を見て経験してこそ、多様な考え方を認め合える。泣こよかひっ飛べ!」
はまだ・せいいちろう 英語の話者は「誠一郎」の発音が難しいことから、「セイ・ハマダ」の名で活動する。趣味はゴルフと魚釣り。
南日本新聞 | 鹿児島
【関連記事】
- 【俳優・迫田孝也のオモ語り】撮影の合間に訪れた世界遺産・富岡製糸場。和洋折衷の建築物は国宝指定だなんて、知らなかったなぁ~
- 地方からでも世界に挑める環境を…故郷で立ち上げたモデル事務所、所属モデルにはB2鹿児島レブナイズの監督夫人も
- 志村けんさんの元付き人は「別れは突然すぎて、解消できない思いもある」と言う。命と心の大切さ、人生を変えた言葉を語るトークショー 鹿児島市
- みちょぱさんの助言を胸に…私も見つけた「自分が本当にやりたいこと」…寄せる波や夕暮れに感じた癒やし 写真に没頭、ついに個展開催 開陽高3年・北山千裕さん
- 溺れた中学生を助けようと…24歳消防士、救助かなわず殉職 53年前の水難事故、後輩ら思い新た「職務の遂行に全霊。遺志を受け継ぐ」 出水