関空の冠水被害で気になる 大阪の高潮対策とは?
台風21号による『関西空港冠水』の衝撃が走り、大阪では高潮への関心が高まっている。大阪湾の高潮対策は、国土交通省や大阪府、大阪市などの湾岸自治体が個別に実施されているが、今回は大阪府西大阪治水事務所が管轄し、もっとも人口が密集するうえに、高潮発生の可能性が高い西大阪地域の対策を取材した。湾岸部で人口密集地である西大阪地域は、かつて高潮被害に繰り返し悩まされたが、現在はどのような高潮対策が実施されているのか。そのポイントのひとつは、優雅なアーチ型水門だった。 【動画と拡大写真付き】台風21号被害・大阪・南港は車20台以上横転 5日朝から復旧作業各地で
過去の高潮被害契機に計画的整備を継続
古代より淀川とともに栄えてきた水の都大阪。半面、水都の歴史は水害との戦いの歴史でもあった。現在、大阪湾に面し、人口が密集する西大阪地域の治水事業に関しては、淀川が国土交通省の所管で、淀川左岸の旧淀川(大川)筋と同右岸の神崎川筋を、大阪府西大阪治水事務所(大阪市西区)が管理している。 高潮は満潮時に超大型台風による海面の吸い上げと、海水の陸への吹き寄せが重なると、より激しくなりやすい。西大阪地域では地形的条件から高潮が起こりやすく、1950年のジェーン台風、61年の第2室戸台風による被害を契機に、防潮設備の計画的整備が始まった。 70年には基幹施設である安治川水門、尻無川水門、木津川水門が完成。三大水門と呼ばれ、第一線の防潮ラインが形成された。81年、上流部に毛馬排水機場が完成。下流の水門閉鎖時に、河川にたまる内水を淀川へ排除する役割を担う。 同治水事務所が台風21号で実施した高潮対策に関して「西大阪地域における高潮対策の効果」と題する報告書を、府のホームページに発表。報告書によると、台風21号は過去最高の潮位を観測したものの、防潮堤、防潮水門、排水施設などの高潮対策によって、高潮による浸水被害は発生しなかった。 台風接近に備え、水門は三大水門と中小水門の全9基、防潮扉は大半の49基を閉鎖。毛馬排水機場では、水門閉鎖時の内水を排水するため、最大6台のポンプを稼働。総量約426万立法メートルを淀川に排水した。