骨太の方針など3計画を閣議決定…賃上げ定着や来年度の基礎的財政収支黒字化など目指す
政府は21日、今後の重要政策の方向性を示す「経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)」と成長戦略「新しい資本主義実行計画」の改訂版、「規制改革実施計画」の3計画を持ち回り閣議で決定した。
人口減少が本格化する2030年代以降に経済や財政、社会保障を持続可能とするには、国内総生産(GDP)で実質1%超の成長が必要で、実現すれば40年頃に名目GDPの1000兆円が視野に入るとした。
閣議に先立ち、政府は経済財政諮問会議(議長・岸田首相)などの合同会議を開き、骨太の方針などを取りまとめた。岸田首相は「次の世代が未来に希望を持てるよう、そうした経済社会を実現していく」と述べた。
骨太の方針では、今の日本経済を「デフレから完全に脱却し、成長型の経済を実現させる千載一遇の歴史的チャンス」と位置付けた。労務費の転嫁や人事制度改革などの徹底で所得増加や賃上げを定着させ、「成長型の新たな経済ステージへと移行」するとした。
新たに25~30年度の6か年計画「経済・財政新生計画」も策定した。この中で、22年、23年と記載を見送っていた国と地方の「基礎的財政収支」(PB)について、25年度に黒字化する目標を明記した。
「新しい資本主義」は成長と分配の好循環を目指す岸田内閣の看板政策。改訂した実行計画では、中小企業に的を絞った賃上げ支援、人工知能(AI)や半導体などの成長分野への投資など4本柱で成長を目指す方針を打ち出した。
規制改革実施計画には、一般ドライバーが有償で客を送迎する「日本版ライドシェア」の運用改善を図る方針などが盛り込まれた。ライドシェアは4月に始まったが、現在は地域や時間帯、台数を制限しており、今後、雨天やイベント時などの緩和を検討する。