USB-A、C、2.0、3.2 gen 2……ややこしすぎてユーザーは阿鼻叫喚。USBの形状と表記は、なぜこんなにもわかりにくいのか? 間違って購入しないためにはどうすれば?
数字の違い=世代の違い
次に押さえておきたいのが、「数字」に関してだ。USBに関する表記でよく見かける「2.0」や「3.0」といった数字は、USBのバージョン(世代)を指している。 USBの初期バージョンである「1.0」が登場したのは、1996年のこと。その後、2000年に「2.0」、2008年に「3.0」がリリースされ、最新の規格である「USB4」は2019年に登場した(USB4では「4.0」という表記は使用されないのが、またややこしい…)。 USBの規格は、長い年月をかけて細かくバージョンアップされており、「USB 1.1」のように小数点以下で区別されることもある。しかし、USB規格は「後方互換性」を持っているため、たとえば「USB 2.0に対応するPCは、USB 1.0のアクセサリも使用することが可能」だ。 また、USBは世代によってデータ転送速度が異なってくる。 基本的に新しい世代ほど、転送速度は高速。たとえば、PCに搭載されているUSBポートが「USB 3.2」に対応している場合、USB 1.0やUSB 2.0の外部ストレージよりも、USB 3.2対応のストレージを使用したほうが高速にデータを転送できて快適だ。
多くの人を悩ませ続けた「USB3.x問題」
しかし、USBのバージョン表記は、USB 3.0以降から一気に混迷し始めた。 USB 3.0が登場した5年後に「USB3.1」という規格が登場したが、その際、なぜかそれまでのUSB 3.0を「USB 3.1 Gen 1」に、新しい規格を「USB 3.1 gen 2」と呼ぶことにしてしまった。ちなみに、「gen」とは「ジェネレーション(generation)」を意味している。 この変更だけでもわかりにくいのだが、それから4年後の「USB 3.2」の登場で、さらに事態は複雑に。以前のUSB 3.0(USB 3.1 Gen 1)は「USB 3.2 Gen 1」に、USB 3.1 Gen 2は「USB 3.2 Gen 2」に名称が変更され、新たな規格は「USB 3.2 Gen 2x2」と名付けられた。「x2」は2倍の速度を意味しているが、結果的に、この表記は非常に理解しにくいものになってしまった。 また、過去の規格の呼称変更は、PC周辺機器市場にも混乱をもたらした。 たとえば、USB 3.0対応として販売されていた周辺機器は、新しい呼称に合わせて「USB 3.1 Gen 1」と表記を変更し、パッケージを作り直す必要があった。このため、販売店には古い呼称と新しい呼称の製品が混在し、消費者にとっては混乱の元となっってしまったのだ。 この問題は、時間が経つにつれてある程度解消されたといえる。USB 3.2が登場したのは2017年で、その後5年以上が経過し、現状市場にあるほとんどの周辺製品は「USB 3.2 Gen xx」という表記に統一されている。以下の表に呼称の変遷をまとめたが、現在は主に「3.2」ベースの呼称を覚えておくとよいだろう。