観光振興で能登再生を 経団連・十倉会長 復興過程も「見える化」 七尾で北経連と懇談
北陸経済連合会と経団連の懇談会は20日、七尾市和倉温泉の旅館「のと楽」で開かれた。経団連の十倉雅和会長(住友化学会長)は懇談後の会見で被災地支援に関して「できることは何でもしたい」と強調、能登復興へ観光振興を生かすよう求めた。北経連が提案する、復興の過程を「見える化」して観光資源とする策の実現にも期待を込めた。 【写真】十倉氏一行が見学した輪島塗の大型地球儀=輪島市の石川県輪島漆芸美術館 懇談会は「能登地域の創造的な復興に向けて」をテーマに開催され、約100人が出席した。 十倉会長は会見で自然災害の激甚化に触れ、「防災などのインフラを一度点検する必要がある。能登の復興はそのモデルになる」と指摘。自然の景観や伝統工芸を強みとして観光客に発信し、復興につなげる案を示した。 北経連の金井豊会長(北陸電力会長)はこれまでに北経連が策定した「産業復興・再生ビジョン」を紹介し、復興の過程も観光資源とすることを提案。「輪島塗の仮設工房で職人が協力して作業している様子も観光客に見てもらうことも考えてはどうか」と述べた。 ●新幹線敦賀以西「早くつなげて」 北陸新幹線の敦賀以西の整備に関して、十倉会長は「新幹線はつながるとループになる。それぞれの関係者がよく話し合い、とにかく早く大阪までつながることを願っている」と述べた。金井会長は北陸新幹線が東海道新幹線の代替機能を担う点を挙げ「東海道とは独立したルートであることが大事だ」と指摘。現行の小浜ルートで整備するべきとの見解を改めて示した。 ●年収の壁見直し賛同「分厚い中間層形成」 十倉氏は、年収103万円を超えると所得税が生じる「103万円の壁」の引き上げについて「分厚い中間層の形成という意味では経団連も同じ思いだ」と述べ、政府の経済対策に盛り込まれることに賛意を示した。ただ103万円の壁の見直しだけでなく、財政や社会保障制度を含め「トータルで議論してほしい」と強調した。 厚生年金の加入要件である「106万円の壁」の撤廃に関しては「働き方に中立な社会保障制度にするために良いことだ」と語った。その上で、社会保険料を肩代わりするなど企業側の負担増となる施策が検討されていることには「かえっていろんな格差を招くことにならないか」と指摘した。