『全領域異常解決室』藤原竜也は全知全能の神がよく似合う ついに明かされた興玉神の真実
『全領域異常解決室』第8話のラストで再び衝撃的なシーンが
佃は娘を手に掛けた人間の情報を得る代わりに、人魚のミイラを蘇らせたことを告白。その結果、ヒルコは不老不死の薬を手に入れることができた。娘のためとはいえ、人と共存して生活していかなければいけない神が自ら手を下していいはずはない。その結果、佃には黄泉送りの決断が下された。その重要な役割を担うのが「天石戸別神(アメノイワトノワケノカミ)」だ。天石戸別神は人の平穏な生活を守る神とされており、誰もその正体を知ることはできない、八百万の神の中でも極めて重要な神らしい。 月明かりすらも入らない無機質な独房に入れられる佃。22時を伝える時計の鐘が鳴り響くと、扉から現れたのは、なんと興玉だった。興玉は興玉神を装い、自らが天石戸別神であることを隠して生活していた。後光に照らされて登場する藤原竜也の姿は、まさに新世界の神。藤原は全知全能の神が本当によく似合う。佃はここで文明の利器を得て、何でも分かった気になる人間たちの愚かさを指摘する。現代の諸問題と絡めつつも、本格ミステリーとしての濃度も高い。素晴らしい脚本だ。 興玉が佃に手を下そうとした瞬間、独房に潜入してきたのは荒波たち。その隙をついて佃は脱走してしまう。寿正から佃のもとに送られてきた「今夜、決行してください」というメッセージ。最初は娘を殺した犯人に対してのものと思っていたが、実際のところは天石戸別神を明らかにすることが彼らの目的だったのだ。しかし、寿正の裏切りにあった佃は、娘を殺した人間に刺され、自ら事戸を渡すことを決めた。本当は娘を愛する心の優しい神であるはずなのに、なぜ悪に手を染めなければいけなかったのか。社会のあり方すらも本作を伝えてくれている。 ラストでは再び衝撃的なシーンが。寿正は宇喜之と接触し、天石戸別神である興玉を消してほしいと命令する。小さくうなずく宇喜之。いよいよ全決の内部の人間ですらも信用できなくなってきた。
川崎龍也