ゼレンスキー大統領、米次期政権に「現実的な」停戦合意求める
(ブルームバーグ): ウクライナのゼレンスキー大統領は19日、ロシアとの停戦に向けた取り組みを米国のトランプ次期大統領が始める可能性を歓迎しつつ、容易に瓦解する合意の取り付けには警戒感を示した。
ゼレンスキー氏はブリュッセルで欧州連合(EU)首脳会議に出席後、記者団に対し「私はトランプ氏に、戦争を終わらせるため力を貸してほしいと強く願っている」と述べた。一方で、3年近くに及ぶ戦争を終結させる方法について、憶測が高まっていることには異議を唱えた。
ロシアのプーチン大統領が停戦に応じたとしても、合意内容が「現実的な計画」でなければ、戦闘再開の命令が下り、すぐに合意を台無しにしてしまうとゼレンスキー氏は述べた。拙速な合意については「決定を下した全員が敗者だ。私はそれを望んでいない」と訴えた。
ゼレンスキー氏は18日夜、北大西洋条約機構(NATO)のルッテ事務総長が主催した会合で、欧米の主要な支持者らと会い、EU各国の首脳から新たな支持の確約を取り付けた。ロシアの組織的な攻撃に押されているウクライナが、戦争終結のための交渉が始まる前に最大限強い立場に立つべきだとの考えを、多くの参加者が強めた。
来年1月に就任するトランプ氏は戦争の早期終結を公約に掲げ、米共和党の多くの議員はウクライナ支援の中止を求めている。ゼレンスキー氏は米国とEUが協調するよう呼びかけた。またウクライナが自国を守るために必要な具体的な安全保障策を確約するよう、緊急に要請した。
トランプ氏は停戦のための具体的な計画の詳細は示していない。トランプ氏および次期政権で安全保障を担う候補らはウクライナに対し、NATO加盟ほどの効果はない安全保障と引き換えに、ロシア占領下にある領土の広範囲から手を引かなければならない可能性があると示唆している。
原題:Zelenskiy Welcomes Trump Effort But Warns of Hasty Ceasefire(抜粋)