築地市場の豊洲移転問題 市場関係者が小池都知事と初の意見交換
THE PAGE
11月7日に予定されている築地市場の豊洲への移転問題に関連し、築地の市場関係者は12日午後、東京都庁を訪問し、小池百合子都知事と意見を交換した。来庁したのは、豊洲への移転の延期を求める築地市場関係者と、予定通りのスケジュールでの移転を求める同市場関係者ら。都知事が同市場関係者と直接の意見交換を行うのは、これが初のケース。非公開だった意見交換が終了した後、両者は記者団に対してそれぞれの持論を主張した。 【中継録画】小池百合子・東京都知事の定例記者会見 (2016年8月12日)
豊洲への移転延期を求める同市場関係者のうち、水産中卸業者の関戸富夫氏は、「豊洲新市場は使い勝手を含め、いろいろと懸念がある。築地の弱点は温度管理面。豊洲はそれができているので本当は行きたい。完璧な準備ができたのちに移転を」と主張。 同じく延期を求めている水産中卸業者の三浦進氏は、「新市場はアクセスの整備が不十分で準備不足。情報公開も十分ではなく、いまだに家賃がどのくらいかもわからず駐車場も足りない」などと準備がいまだ整っていないほか、移転時期は繁忙期にあたると指摘。「本心は築地で続けたい」としつつも、「準備不足なので移転は延期してほしいというのが今回の趣旨」とした。また、築地場外市場商店街振興組合の鈴木章夫理事長は、「移転後も、豊洲新市場と築地場外市場が共存し、商品が行き来できるようにしてほしい」との観点から、「築地市場跡地を場外市場のために使わせてほしいと申し上げた」と説明した。 一方、予定通りの期日での移転を求める同市場関係者のうち、東京都水産物卸売業者協会の伊藤裕康会長は、「豊洲新市場の開場日は皆で決めたこと。ここまできて移転時期が変更されると、大変な混乱をきたす」と懸念を示した。東京魚市場卸協同組合の伊藤淳一理事長は、「繁忙期を超えてからの移転となると、移転準備を繁忙期にしなければならない」として、移転時期の後ろ倒しは繁忙期の商売に支障が出るとの見解を示し、従来通りの移転実施を主張。土壌汚染問題については、「小池都知事に安全宣言を出してほしい」と要望したことを明かした。 築地商業協同組合の泉未紀夫理事長も、11月7日の移転実施を求めるとともに、「環状2号線は五輪のためだけではなく、豊洲新市場にとって一番大切な動線になる。1日も早く開通させてほしい」と訴えた。また、「誰も行きたくはないが、将来を考えた時に移転せざるを得ない。いまさら移転時期を動かすと、官民ともに影響が出る」と主張した。 意見交換の際の小池都知事の対応について記者団から聞かれると、「温かみのある接し方をしてもらった」(鈴木理事長)、「大変よく話を聞いてくれた」(伊藤会長)とともに好印象を口にした。もっともに、小池都知事から移転の延期の是非についての見解は示されず、あくまでもヒアリングの場だったもよう。 小池都知事は16日午後、築地市場および豊洲新市場の両方を視察する予定。 (取材・文:具志堅浩二)