「無意味な新卒採用」に陥る会社に欠けている視点 なんとなく新卒採用をしていてはいけない
これまで1万人超の採用・昇降格面接、管理職・階層別研修、また多数の企業の評価会議、目標設定会議に同席し、アドバイスを行ってきた人事コンサルタント・西尾太氏による連載「社員成長の決め手は、人事が9割」。エンターテインメントコンテンツのポータルサイト「アルファポリス」とのコラボによりお届けする。 「新卒の女性採用比率」40%以上で年収高い100社 ■なんとなく新卒採用をしていませんか? 会社がある程度の規模になると、「うちもそろそろ新卒採用する?」といった話が出てきます。社員数が50名程度だと難しいかもしれませんが、100名以上になると中小企業の多くが検討するようになります。そこで考えたいのが「新卒採用の意味」です。
すでに新卒採用を始めている企業の経営者や人事担当者に「なぜ新卒採用をするのですか?」と尋ねても、あまり明確な答えが返ってくることはありません。「えっ、なんでだっけ?」と戸惑われることが多く、返ってくるのは「他社を経験していないので真っ白だから」「新卒のほうが中途より定着しやすいから」といった答えが大半です。 でも本当にそうでしょうか? SNS全盛の昨今、Webには真偽不明な情報が溢れています。社会人経験のないZ世代の学生ほど、かえって誤った就業観や会社観に染まっているかもしれません。新卒の3割が3年以内に離職することも定説となっており、最近は入社してからも大手への就職活動を続けている人が増えているといいます。
私は、「新卒は真っ白」「定着しやすい」という発想は都市伝説に近い根拠のない考え方ではないかと思っています。中途採用であっても、時間をかけて教育し組織に溶け込めるような施策をしていけば、定着率は新卒と変わりません。他社を経験しているからこそ、自社の良さが伝わる場合もあります。 新卒採用は、莫大な時間とお金と手間がかかります。採用の2年ぐらい前から計画を始め、インターンシップをやって、媒体に告知し、説明会を開き、選考し、内定を出しますが、内定者から辞退されたり、入社しても3年以内に3割が辞めたりします。数年以内に全員が離職することもあるため、時間もお金も手間もすべてが無駄になるかもしれません。