闇夜に炎の行列、福井県で春告げる「お水送り」 竹筒から川に御香水を注ぎ…10日後に奈良・東大寺へ
若狭地域に春の訪れを告げる伝統行事「お水送り」が3月2日夜、福井県小浜市神宮寺の若狭神宮寺や同市下根来の鵜(う)の瀬周辺で営まれた。たいまつや護摩壇(ごまだん)の炎が闇夜を幻想的に照らす中、遠敷川に御香水(おこうずい)が注がれた。 日中降っていた雪もやみ、午後7時ごろ、若狭神宮寺境内で大護摩法要が行われた。大護摩の火が移されたたいまつを持った一行が出発。約1・8キロ先にある鵜の瀬にかけて“炎の行列”ができた。 午後8時半ごろ、鵜の瀬に到着した山河尊聖(そんじょう)住職らは遠敷川の対岸に渡り送水神事が厳かに営まれた。送水文を読み上げた後、竹筒に入った御香水が川に注がれた。周囲の見物客は携帯やカメラで写真を撮りながら静かに神事を見守った。 御香水は奈良・東大寺二月堂の井戸「若狭井」に届くとされ、12日に行われる「お水取り」でくみ上げられる。
福井新聞社