切らずに日帰り、新しいヘルニア治療 針先から電気 体の負担少なく、早期の日常復帰期待 島根県立中央病院
首や腰の椎間板ヘルニアを切除せずに治療する取り組みが、島根県立中央病院(出雲市姫原4丁目)で進んでいる。これまでは手術するために入院が必要だったが、新しい治療は日帰りが可能で、日常生活への早期復帰が期待できるという。 【イメージ図】負担少ないヘルニア治療 切らずに日帰り 針先から電気 早期の日常復帰期待 島根県立中央病院
椎間板ヘルニアは、首や腰の骨の間にある椎間板が飛び出して神経を圧迫。しびれや電気ショックのようなビリビリする痛みといった症状が出る。治療は投薬やブロック注射のほか、改善の見込みがない場合は全身麻酔による手術で切除するのが一般的だった。 同病院が2024年に導入した「L,DISQ(エル・ディスク)」は、椎間板の中に太さ約2ミリの針を刺し、針先からプラズマ電気を流して内部にある「髄核」の部分を熱で焼き飛ばす。こうしてヘルニアの圧力を減らすことで症状が軽くなる。痛みは徐々に和らぎ、1~2カ月程度でなくなるという。 19年に保険適用となった治療法で、同病院が約400万円かけて機器などを整備。中国地方では初の導入となった。 治療は1時間以内で終了する。従来の手術では傷が大きく残り、約2週間の入院が必要だったが、新治療では局所麻酔のため日帰りで治療ができ、3日ほどの自宅での安静ですむ。 高齢者や心臓に疾患がある人にも有効といい、電極はハンドル操作によって自由に曲げることができるため、腰椎のさまざまな場所に存在するヘルニアに対しても効果があるという。
これまで14人に治療した結果、「しびれが徐々になくなった」などの声が寄せられたといい、麻酔科の奈良井康宏医長(48)は「体の負担が少ない治療。困っている人は相談してほしい」と呼びかけている。