石丸伸二・前安芸高田市長を独占直撃…!「乱世を治めるには『曹操型』の政治家が必要なんです」
「東京に来て驚いたのは、選挙ボランティアの説明会に1000 人を超える方が来てくれたことです。最大でも500人しか入らない部屋を押さえていたので、急遽2回に分けて説明会を行ったのですが、完全に想定外でした。ただ――渋谷での演説に多くの方が足を止めてくれたことには驚きはなかった。これくらいの反響はあるだろう、と想定して演説場所を選びました」 【写真】石丸伸二・前安芸高田市長が満面の笑みでおススメする「漫画」 7月7日に投開票が行われる東京都知事選挙が異様な盛り上がりを見せている。ドクター・中松氏(95)、田母神俊雄氏(75)、ジョーカー議員こと河合悠祐氏(43)ら50人超が立候補の意思を示しているのだ。ただし、そのほとんどが泡沫で、現職の小池百合子東京都知事(71)と元参議院議員の蓮舫氏(56)による事実上の一騎打ちと目される中、前安芸高田市長の石丸伸二氏(41)は、冒頭のように自信をにじませるのだった。 石丸氏は京都大学を卒業後、三菱UFJ銀行でアナリストとして勤務。’20年に安芸高田市長に就任すると、議会や会見の様子を積極的にインターネットにアップ。市議や記者との口論までも隠さない独特な手法で、一躍耳目を集めた。ネット上での高い知名度が、彼の自信の源なのである。 石丸氏の政治の特徴は「まずは注目を集める」こと。 「お金を集めるには、注目されてないといけませんから。加えて、政治には『エンタメ的要素』も必要だと感じました。正直に言うと、私は議会での言動を“演じていた”面もあります。前日に何を言おうかと下調べし、脚本を組み立てるイメージです」 熱心な支持層がいる反面、炎上も辞さない言動には批判も聞こえてくる。突然の出馬は「大した実績もないくせに」「市政を放り出すのか」と叩かれた。 「改革を急がないと日本という国自体がもたない、という危機感が根本にあります。では、なぜ都知事なのか。東京は世界的に見ても成熟した都市ですが、“過密”という問題を抱えています。一極集中化によって、他の道府県から人を吸い寄せるブラックホールと化してしまっているんです。政治再建、都市開発、産業創出を軸に、私が知事となって東京一極集中からの脱却を図ることで、強い日本を実現したいと考えています」 8年間の小池都政の評価はこうだ。 「安芸高田市の経験から言うと、行政サービスは“何を残すか”という視点が今後大切になる。’40年に人口がピークアウトする東京も、そんな時代を迎えます。授業料無償化などの方針も、教育の質を高めるというマクロな視点がなければ、単なるバラまきになります。同時に少子化の原因である若者の経済的な弱さを改善しないと、抜本的な解決には繋がらないと感じています」 石丸氏の武器である鋭い言葉遣いは「2万冊以上読破した漫画から着想することが多い」という。渋谷で行われた初の街頭演説でも『攻殻機動隊』の「世の中に不満があるなら自分を変えろ」というセリフを引用して聴衆に訴えかけた。 そんな石丸氏が人生で「最も共感した」という作品が、『三国志』における魏の英傑・曹操を描いた『蒼天航路』(講談社)だという。 「曹操を冷酷な悪役として描く作品が多い中、『蒼天航路』には彼の多面性が詰まっています。今は善か悪かのどちらかに焦点が当てられやすい時代ですが、人間はそんなに単純ではないはずです」 曹操の武器は知略と行動力。戦略家としての一面を大切にしていくのかと水を向けると、こう答えた。 「『蒼天航路』の作中で曹操は『感情をぶっ放さずしてなんの命だ!』という名台詞を口にします。私も感情を殺してしまうと生きている意味がないと思います。感情を大切にしながら、政治でもビジネスの場でも曹操のように頭は冷静でいることが重要なのです」 目指す政治家像も、曹操に重なる部分があるという。 「裏金問題で政治不信が高まっている今の日本を“国乱”の時期だとすると、曹操のように先入観に囚われず、時に感情を爆発させる政治も必要だと思うんです」 50人超の候補者が入り乱れる都知事選はまさに乱世。石丸氏は曹操のような奸雄となりうるのか。それとも――。
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