繁華街で急増中「酒のヤマト」は2024年問題も無風、カクヤスが急回復を遂げた”逆張り戦略”の中身とは?
人手不足問題も、小型倉庫を増やす障壁にはなりづらい。大規模な配送センターでは大型トラックのドライバーが必要だが、小型倉庫ならリヤカーや台車だから免許がなくても採用できる。これまで雇用が少なかった女性やシニア層の配達員を増やすことで、採用が安定してきたという。 首都圏で小型倉庫の設置をさらに増やす方針で、恵比寿や中目黒エリアなどへの進出を虎視眈々と狙う。 ■店舗は日用品を拡充 従来の店舗は、家庭向け宅配に力を入れるべく日用品を拡充している。直近の家庭向け宅配の売り上げは、2019年度と比べて約36%増加している。コロナ後も高止まりしており、今後は介護用品やペット用品といった、昼間に注文の多い商品を充実させて稼働率を上げていく。
「今のカクヤスが進めるのは、物流戦略だけ。もはや酒屋じゃなく物流会社と言ってもいいかもしれない」(佐藤会長)。ラストワンマイルの整備に乗り出すカクヤスは、まさに酒販業界の「ヤマト運輸」。首都圏の包囲網は、さらに強固となりそうだ。
田口 遥 :東洋経済 記者