倒壊ビル解体開始 輪島の住民「ようやく」 年度内の完了目指す
輪島市は7日、元日の能登半島地震で倒壊した同市河井町の輪島塗老舗「五島屋」のビルの公費解体を開始した。地震でビルと分離し、倒壊を免れた3階建て別棟から取り壊し、重機を置くスペースを確保して7階建て本体の工事に取り掛かる。9カ月以上、街中にビルが横たわる光景が続いており、住民から「ようやく始まった」との声が聞かれた。 ●国交省が原因調査 初日は別棟の解体作業に備え、建物内の片付けが行われた。午前8時過ぎから作業員がトラックに次々と荷物を積み込んだ。市は年度内の解体完了を目指す。 ビルはコンクリート造りで、1970年代に建てられた。地震に伴う大規模火災が起きた「輪島朝市」の近くにあり、五島屋が社屋として使っていた。 地震で基礎部の一部が地面にめり込むように倒れ、隣接する居酒屋がビルの下敷きになり、男性店主の妻と長女が犠牲になった。 倒壊を巡っては、基礎部のくいの破損や地盤が原因ではないかと指摘されており、店主が倒壊原因の究明を求めている。国土交通省が原因調査を進める。 地震で自宅が全壊し、5月から輪島市マリンタウンの応急仮設住宅で暮らす大野由美子さん(57)は「通勤で倒れたビルを目にするたび心が痛む。早く撤去してほしい」と話した。