転覆船発見、船長の捜索続く/大間マグロ漁船事故
青森県大間町沖の津軽海峡で19日夜、大間漁協所属のマグロ漁船「第28光明(こうみょう)丸」(4.9トン)が消息を絶った事故で、青森海上保安部は20日、海から意識不明で引き上げられた1人は須藤愛教(よしのり)さん(55)=大間町=だったことを明らかにした。須藤さんは19日午後10時24分、搬送先の大間病院で死亡が確認された。20日午後には、風間浦村沖で同船とみられる転覆船が見つかった。海保は同乗していた船長の藤枝亮一さん(70)=大間町=の捜索を夜通し続けているが、同11時現在、見つかっていない。 青森海保によると、光明丸は19日、太平洋沖でマグロ漁を終えて帰港途中、大間沖の弁天島付近で確認されたのを最後に連絡が途絶えた。当時の現場周辺は西の風約7メートル、波の高さ約1メートル、海水温は11度だった。 帰港予定の午後5時に戻らなかったことから、大間漁協が同8時に青森海保に通報した。同9時10分ごろ、須藤さんが発見され、引き上げられた。救命胴衣を着用していたという。 海保や大間漁協所属船が捜索を行い、同11時20分過ぎに転覆した状態の光明丸とみられる船を発見。その後、再び行方が分からなくなっていたが、20日午後1時ごろ、大間埼灯台付近から約17キロ南東の風間浦村沖で見つけた。海保が船が光明丸かどうか確認を進める。 20日は天候不良のため、午前7時過ぎから大間町と風間浦村の漁師や消防団員、役場職員が両町村の海岸線を歩いて藤枝さんの行方を捜索。海保は海上と空から捜した。漁師らは複数人でグループをつくり、漁港内を歩いたり、防波堤に登ったりして、手掛かりを追った。 大間漁協の小鷹勝敏組合長は「(船長を)早く確認できれば」、野﨑尚文町長は「なんとも言葉にならない。ただ生きていてくれれば」と願った。 同海保は天候が回復し次第、潜水士を投入して転覆船周辺などを捜索・調査する予定。