映画『笑いのカイブツ』岡山天音×菅田将暉
同世代の役者として、敬意と好感を抱き、お互いを高め合う途上の彼ら。映画『笑いのカイブツ』(1月5日公開)は、八度目の共演となった。映画の現場や役柄に込めた想い、そして記憶を共有する二人ならではの話を。 【インタビュー中の写真をすべて見る】
13年来、共演と親交を重ねる二人。まずはお互いに感じている、俳優としての魅力を聞いてみた。 岡山:菅田くんは、出演情報が解禁されるたびにワクワクする人。キャラクターに扮した劇中写真と“菅田将暉”という字面に、「今度は何を見せてくれるんだろう?」ってテンションが上がる。つまり、華がある。もちろん技術も含めてだけど、自分にとって、日本の役者でそういう対象はあんまりいないので。もはやお客さん視点ですけど(笑)。 菅田:映画『笑いのカイブツ』の撮影現場で、天音から「最近絵を描いてる」と聞いたのをきっかけに、配信曲「美しい生き物」のジャケットを描き下ろしてもらったんだよね。あの時も思ったけど、多分、僕はとにかく天音の表現が見たいんでしょうね。もちろん演者としても、天音が演じれば必ず役が面白くなる。好みって言えばそれまでなのかもしれないけど、間違いなくそれはある。あと、顔がいい。 岡山:いやファンのSNSじゃないんだから(笑)。 菅田:顔ファンです(笑)。
公開中の共演作である『笑いのカイブツ』には、それぞれに特別な思いのもと臨んだという。 岡山:台本ができる前にまず原作を読んだんですけど、ファーストインプレッションから「わかるな」と。そういう作品ってあんまりないんです。普段はもう少し、役と自分の距離をどう詰めるかという工程が入ることが多いから。僕が演じた主人公ツチヤは、人間関係が不得意で、お笑いに青春のすべてを懸けていて。まわりから“カイブツ”扱いされながら、それさえエネルギーに変えていく、ツチヤの在り方のままならなさに共鳴したというか。 菅田:今回、天音の主演作に参加したのは、夢のひとつだったから。年齢的には僕がちょっと上だけど、別に後輩だと思ってない。初めて会った時は学園もののドラマ(『大切なことはすべて君が教えてくれた』)で、お互い生徒役を演じてて、教室では天音がすぐ後ろの席にいたんです。そのせいか、同級生のような感覚で。 岡山:僕にとっては初の民放ドラマでした。何度も共演しているけど、意外と芝居の絡みは少なくて、今回が一番がっつりやれたかも。 菅田:そうだね。今まではただ僕が座長をやることが多かっただけで、天音が座長の作品に出る日も当然来るだろうと思っていたし、なんならそれを期待していた自分もいる。本音を言えばライヴツアーもあったから、実はあんまりお芝居したくない時期だったんだけど……(笑)。 岡山:(スーッと息を吐いてから)すみません(笑)。 菅田:でも、この作品はやらなきゃって思わされた。そしたら、(仲野)太賀も同じように出ているし、これはもう、“天音力”ですよね。あと5年間ラジオをやっていた自分としては、ラジオのヘビーリスナーの物語っていうのもひとつ乗っかっていたので。 岡山:基本的にどの作品も、出方に関係なく、役とか作品への思いって等距離なんですよ。だけど今回だけはちょっとこう、特別な時間ではありました。自分の中にあるツチヤ的な部分を使って演じたので、もとからある種そういう人間ではあったけど、より肥大化するっていうか。「鶏が先か卵が先か」みたいな感じで、役なのか自分なのかわからないけど、まあ陰陽で言う、「陰」の精神状態ではありました。撮影中とか、結構ヤバかった。 菅田:ヤバかったよね。 岡山:「もう全部ほっぽってやめちゃうよ!?」みたいなギリギリ感。 菅田:その感じはオファーが来た時からあったからな。ま、もともとそういうとこあるけど。 岡山:俺がですか? いやいやいや、それはまずい(笑)。 菅田:別に連絡をとりあったわけじゃないけど、「天音の最大の危機だから、絶対に駆けつけなきゃ」みたいな、なんかそんな気持ちがあったよ。感覚的に。