ルポ・若者たちの都知事選2014 第二回 吹雪の中でライブした愛国ラッパー
選挙戦最終日となった2月8日、都心で13年ぶりの大雪警報が発表された。秋葉原で14時50分頃から始まった田母神俊雄の街頭演説には、吹雪のなか傘をさして演説に耳を傾ける人々の姿があった。元航空幕僚長の田母神はヘルメット姿で有権者へ最後の訴えをおこなった。 第一回・大学を飛び出してきた選挙スタッフ
司会の女性のアナウンスが入る。「この雪の中、もしかしたら大地震が起きるかもしれない。そうしたら、救援に行かなければならない。その決意の表明として、(田母神陣営一同)本日はヘルメット、そして作業服、安全靴を身に着けています」ーーー自他ともに”危機管理のプロ"と認める田母神氏らしい取り組みだ。 手がかじかんでしまい、メモ帳に書く字もおぼつかない。手元のiPhoneで確認すると、気温は氷点下2度をさしていた。身をさすような寒さの中、私はあるミュージシャンの出番を待っていた。
一票の責任を痛感して政治を考えるきっかけに
選挙戦も終盤となった2月7日、JR渋谷駅にあらわれた愛国ラッパー・show-k は、物腰やわらかな好青年だった。10代後半から音楽活動を開始したshow-kだが、歌詞に政治的な主張を盛り込むようになったのは数年前からだ。 きっかけは2010年に尖閣諸島付近でおきた中国漁船の衝突事件。民主党政権の対応に疑問に持ったShow-kは、インターネットで調べていくうちに、「民主党へ投票した自分にも責任がある」と強く感じたという。 渋谷でおこなわれた尖閣抗議デモに参加したあと、路上で自作の楽曲を披露すると思いのほか反響があった。ネットを通じて政治的な楽曲を配信する一方で、保守系の勉強会やデモに参加するようにもなった。
ネトウヨ? いわれればそうかも
”愛国ラッパー”というと、「警戒されることもある」というが、本人はいたって自然体だ。「もちろん国防や安全保障は譲れない部分があるが、僕は全然『左』の意見もどんどん聞いていきたいと思っている。右も左も両極端は五十歩百歩。両方の意見を聞き、自分なりのバランスをとればいいと思う」。 「ネトウヨ」とレッテル貼りをされることもあるというshow-kだが、「いわれればそうなのかもしれない」と笑う。 「地上波よりもネットの方がしっかりした議論があるから、そこから情報を得ているだけであって、全然気にしていないです」。